10世紀終わりのイタリアに現れた修道士
現代の我々は楽譜システムやピアノの鍵盤を想像することにより「ドの1つ上にある音はドのシャープ、そしてその上はレ」などと無意識に音階に縛られていますが、ドとレの間に別の音があっても良いわけです。我々の使っている音階は、楽譜というシステムにより、定義され担保されているのです。
楽譜が不完全な時代、「音が外れている」とか「音痴」という問題がなかった代わりに、みんなで同じ音を出す、というのも難しかったのです。音の決定、つまり音階の創造・・このことは、また別の長い長い物語になりますので、別の機会にしたいと思います。
音楽という目に見えないものを、なんとか目に見える形にできないか。音楽を記すことができれば、伝承や伝達が大幅に楽になるのに!最初のミレニアムを迎えようという10世紀の終わり、イタリアに一人の人物が登場します。聖歌隊の指導者となる修道士、グイードでした。アレッツォという街で活躍したので、グイード・ダレッツォと通称で呼ばれる彼は、現在では「楽譜の発明者」と考えられています。
彼は何を考え、どんな革命的な発明をしたのか、次回から見ていきたいと思います。
本田聖嗣