外交官としての歴史観や戦略感、そして次世代への思い

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日本の外交戦略へのメッセージ

   また、こうした分析を展開する上で、歴史を見る視座を与えてくれている。冒頭、「歴史は、遺跡から出る陶器の破片や古文書を収集するだけでは成立しない。今を生きる私たちが、そこから何を読み取るのかという視座を離れては成立し得ない」とする。正に、この視座に立った分析が本書を貫いている。現在の、そしてこれからの外交を考えていく上での歴史的教訓を提供してくれている。これは、現在の政府の外交方針にも見られる「普遍的価値観」の構築につながる。

   最後に、本書は、日本の外交戦略へのメッセージが記されている。それは、20世紀の歴史から導き出される普遍的価値観と自由主義的国際秩序への思いである。そして、この普遍的価値観は様々なことばであらわされてきているが、日本の価値観の普遍性として「優しさ」と「温かな心」を挙げている。このシンプルな総括に真の普遍性と理念の深さを感じる。

   公務員として、こうした歴史観と使命感をもって公務たる外交にあたることができた役人人生をうらやましく思う。自分自身は外交を専門分野としないが、それぞれの分野で、バックボーンとなる理念をもって公務にあたることの意義を教えられる。自分にとっては何か、改めて考える契機としたい。

経済官庁 吉右衛門

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