一生それで通すしか...
学歴や職歴に限らず、うっかり見栄を張った「自己紹介」があとで重くのしかかることはままある。年齢、出身地、親兄弟や配偶者の素性、交友関係...個人的な魅力や値打ちにはさして関係のない要素が、やがて自分を苦しめることになる。
社会的地位を得て世評が定まるにつれ、周囲の視線、メディアのチェックはおのずと厳しくなるもの。自業自得といえばそれまでだが、「だって、こんなに有名になるとは思わなかったんだもん」というのが「詐称」当事者の本音に違いない。
「うまくいきすぎた学歴詐称」という表現、なるほどと思った。若いうちにバレることがなく、どこかで訂正するチャンスにも恵まれず、「略歴」の重要部分として定まってしまう。公人であればあるほど、人生が終わるまでそっちで通すしかない状況である。
そうなる前に「赤い靴」を脱ぎ捨てた野原さんは自分に正直なのだろう。そして、それをネタに一本書いてしまう図太さこそ、オバ記者を自称できる所以と見た。
冨永 格