謙遜と可能性 ジェーン・スーさん「奴隷根性のシミ抜きは自分で」と

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同性を突き放して

   「●●と▲▲と私」は不思議なタイトルだ。毎回、伏せ字のところに言葉が入る。今回は「謙遜と可能性と私」。謙遜のつもりで選んだ言葉の奥底に自分への過小評価は潜んでいないか、それがあなたの潜在能力や可能性を摘んでいないか...そんな問いかけだろう。

   総じて女性の自己評価は低い、という主張については、まあそうかなと思う。内助の功、女房役といった言葉があるように、とりわけ日本女性は長らく男性の社会的活躍を裏で支える役回りで、それが標準的な正しい生き方とされてきた。

   筆者はこれを「社会から受けた刷り込み」「沁みついた奴隷根性」と表現する。結果、女性は「自信満々になれないばかりか、己の可能性も信じられなくなる」と。そのうえで男の側を責めるのかと思いきや、シミ抜きは自分でやりなさいと女たちを突き放す。

   「男に媚びるような生き方」を嫌悪していると思われるジェーンさん。低い自己採点に甘んじ、できるのにしない同性たちが歯がゆくて仕方がないのだろう。

   確かに、世の男性や仕組みを変えるより、女性自らが変わるほうが手っ取り早い。女が変わるということは、社会の半分が変わるということだから。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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