普段なら世界中から観光客が押し寄せる島
フランスのテレビを見ていたところ、南イタリアのカプリ島の自然が蘇った、というニュースを取り上げていました。カプリ島とは、南イタリア、ナポリの沖のティレニア海に浮かぶ、面積は10平方キロメートルちょっと、ちょうど東京・千代田区ぐらいの面積の小さな島です。南伊の中心ナポリから船ですぐ、古代遺跡ポンペイからもさほど離れていない、という立地の便利さと、「青の洞窟」という名で呼ばれる海水によって削られた美しい侵食洞があることで、普段はイタリアのみならず世界中から観光客がひっきりなしに訪れます。しかし、当初はコロナ被害の一番深刻だったイタリアは、厳しいロックダウン政策を取り、カプリ島には、在住している7000人ほどの島民以外、誰も訪れない・・という期間が3か月も続きました。
そうしたらどうなったか・・・いつもは観光客を満載したモーターボートがひっきりなしに訪れる周辺の海と洞窟の中の水は澄みわたり、「青の洞窟」の青はますます綺麗に輝き、かき混ぜられないことによって魚たちの姿もくっきり見えるようになったそうです。また、カプリ島には、洞窟の色ではありませんが、体が青いトカゲが住んでいるそうですが、普段は観光客の多さに怯えてか、あまり姿を見せません。しかし観光客が一切いなくなった最近のカプリ島では、頻繁に姿が見られるようになったそうです。人間が環境に負担を掛けていた、ということがコロナ禍のおかげで明らかになってきたわけで、ウイルスを抑え込めた後も、「節度ある観光を」というようなことが提唱されはじめています。
まあ、今現在では、行きたくても行くことが出来ないカプリ島ですから、想像するしかありません。そんな時に聞きたいのが、ドビュッシーの「アナカプリの丘」。彼のピアノ作品としては最後期の曲集、前奏曲集 第1巻に納められている一曲です。アナカプリとはカプリ島の中の地名です。