繊細で華麗な高麗仏画、修復復元と材料研究で彩色技法を解明

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復元模写を韓国で紹介、母国に正しい技法を伝える

   韓国の高麗仏画専門家を交えたギャラリートークも開催した。韓国でも復元模写はあるが、いろいろな国の技法を取り入れていて、中には正しくない材料の使い方がされているケースもあるという。

「基礎がちょっと弱いですね。でも最近では、できるだけ描かれた当時の技法を取り入れようという雰囲気が出てきています」

   金はこれからも韓国でシンポジウムやワークショップを開き、間違った技法を正していきたいと考えている。

「それが私の仕事だと思っています」

   画家としての創作活動に意欲はあるのだろうか。

「そうですね。韓国と日本には異なる彩色技法があります。私にはそれがわかります。韓国はこれ、日本はこれとはっきり分けて、どちらも生かした創作活動をしていきたいですね。高麗仏画が何百年も大切にされ、評価されているのと同じように、私の作品が500年先に評価されるものになったら嬉しいです」

   かつて、描いた絵が雨に濡れただけでダメになってしまったのは材料がよくなかったからだ。日本では材料についても深く研究することができた。

   金は高麗仏画の研究者としてだけでなく、芸術家として長く評価される作品を残すためにも、さらに日本での活動も深めていきたいと願っている。(敬称略)

(ノンフィクションライター・千葉望/写真・渡辺誠)

公益財団法人韓昌祐・哲文化財団のプロフィール
1990年、日本と韓国の将来を見据え、日韓の友好関係を促進する目的で(株)マルハン代表取締役会長の韓昌祐(ハンチャンウ)氏が前身の(財)韓国文化研究振興財団を設立、理事長に就任した。その後、助成対象分野を広げるために2005年に(財)韓哲(ハンテツ)文化財団に名称を変更。2012年、内閣府から公益財団法人の認定をうけ、公益財団法人韓昌祐・哲(ハンチャンウ・テツ)文化財団に移行した。

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