「女イチロー」と呼ばれることは
――東京五輪でも金に期待がかかっています。このプレッシャーをどう克服しますか。
山田 毎日の準備で自信を付けること、そして「応援は味方」だと受け止めて本番に臨むことでしょうか。2018年に行われた「世界女子ソフトボール選手権大会」で、たくさんの人が見に来てくれたことをプレッシャーに感じてしまい、結果が出せなかった経験があります。「結果を出さなきゃ」、「声援に応えなきゃ」と焦ってしまい、自分のベストパフォーマンスを発揮できませんでした。気持ちのバランスを取ることが大切ですね。
――「自国開催」という点も、精神面に大きな影響を与えそうですね。
山田 そうですね。年齢もベテランの域に来ているので、背負っていかなければならないものもあり・・・。過去の五輪とは向き合い方が変わって、単に「結果を出せばいい」という立場ではなくなってきています。自分の全力を出し、応援も味方に付けて望む結果に繋げたいと考えています。
――日本のファンに、どこが見どころだと伝えたいですか。
山田 ソフトボールは1つの試合の中で結果が出る人もいれば出ない人もいますが、お互いがカバーし合うことで勝利をつかめる団体競技です。一つの目標に向け、全員が同じ気持ちを持って支え合いながらプレーする姿に注目してもらいたいです。
――ご自身が「女イチロー」と呼ばれることは、どう感じていますか。
山田 嬉しいんですけど・・・そんなんじゃないのになあと(笑)。確か、北京五輪の前くらいからそう呼ばれるようになったのかな。当時から「すごい人と一緒にされて申し訳ない」と思っていますが、私は日頃から「人と同じことをしていたら、人より上に行けない。人と違うことをしたい」と強く感じているので、イチローさんが人と違う考え方をしながら競技に取り組む姿勢に共感します。
ただ先ほどもお話ししたようにソフトボールは団体競技なので、協調性も大事にしながら「誰よりもやる」覚悟で試合に臨みたいです。
山田恵里(やまだ・えり)
1984年3月8日生まれ。2008年北京五輪ソフトボール金メダリスト。リーグ通算安打は歴代1位であり、2018年にはリーグ通算400安打、19年には通算200打点を達成。数々の個人タイトルをもつ名バッターとして知られ、東京五輪はチームを引っ張る主将として金メダル獲得を目指す。日立製作所ソフトボール部所属。