昨今、さまざまな素材やデザインのマスクを見かけるようになった。その一つに「透明マスク」がある。特に人と関わる仕事では、表情や口の動きがわかるようにと導入するところが増えてきているようだ。
例えば教育現場。サガテレビは2020年6月23日の放送で、佐賀県鹿島市の小学校のPTAが、児童と教職員・全員分の透明マスク230個を寄贈したことを報じた。軽くて呼吸がしやすく、繰り返し使えるという。また東京都国立市に6月27日にオープンする「手話が共通言語のスターバックス」でも、スタッフが透明マスクを着用して対応することをBuzzFeedが伝えている。
「把握しきれないくらい」の注文が殺到
透明マスクは、街のドラッグストアやコンビニエンスストア、スーパーではあまりお目にかかれない。どこで購入できるのか。
記者がインターネットで探すと、衛生用品やスプーン・ナイフ・フォークの「カトラリー製品」企画販売を手がけるムーヴ・オン(東京都新宿区)が見つかった。「透明マスク」のカテゴリーで国内唯一の特許商品「マスクリア」を展開している。顎にストッパーを当て、耳にひもを掛けて固定することで防曇・抗菌加工の透明フィルムが着用者のつばや息をガードしてくれる。使い捨てではなく、除菌スプレーを吹きかけて繰り返し使える。
「飲食店で、スタッフが笑顔を隠さず安心・安全に接客することを助けるアイテムとして2010年に発売しました。新型コロナウイルス感染が拡大する前からじわじわと注文数が増えていましたが、最近では個人店舗や全国チェーンを展開する大企業から、とにかく把握しきれないくらいたくさんの注文をいただいています」
ムーヴ・オン広報担当者はJ-CASTトレンドの取材にこう答えた。飲食業以外にも、学校や福祉・介護施設、理美容室などからも発注がかかっているそうだ。「コロナ対策を『何もしない』選択肢はないが、不織布マスクをつけていると体調を崩すスタッフがいたり、表情が見えなかったり、難聴者に対応するときに不便だったりする」という悩みがよく寄せられていると話す。
フェイスシールドとの違いは「暑苦しさ」
接客を行わない業界からも、注文が相次いでいる。
「建設業です。現場では『密』を避けるのが難しいためスタッフがマスクをして作業しているところが多いようですが、一般的な不織布マスクだと蒸れたり息苦しかったり、指示が聞き取りづらかったりといった課題があります。マスクリアであれば、これらの点を解決できます」(広報担当者)
フェイスシールドとはどう違うのか。「透明な点は変わらないと思うが」と尋ねると、広報担当者は「暑苦しさに差が出る」と答えた。熱気は上にあがるため、頭で固定するフェイスシールドだと逃げ場がなくなり顔全体が暑くなる。マスクリアは熱気がこもらない作りのため、快適に過ごせる。
業種を問わず、マスクを付けたまま長時間労働しなければならない人にとっては、蒸し暑さが増すこれからの時期に頼もしい味方となりそうだ。