「命の大切さ」と「自分らしくあること」
どんな曲を歌うのか。三曲目の「キニシナイ」は、EDMと呼ばれるエレクトリックなダンスミュージックで「青い鳥」は台詞入りのフォーク・ロックで「This is Love」はレトロなフォー・ビートジャズ。いきものがかりの水野良樹が書いた「おもひぞら」は、明らかに歌い手が彼であることを想定して書いたと思える哀愁のある異色のポップスだ。その最たるものが、上田正樹が曲を書きラップでも参加している「NEVER GIVE UP」だろう。氷川きよしがペンネームで初めて詞を書いたという曲でもある。
「上田正樹さんとは親交があったんでR&Bをお願いしようとは思ってたんです。去年の前半くらいからメールのやりとりをさせて頂いて。素直な気持ちを書けばいいんだよ、と言って頂いたりして。一年はかかりましたね」
アルバムに流れているテーマは「命の大切さ」と「自分らしくあること」だ。「NEVER GIVE UP」には、「何時も孤独で 周囲(ひと)と違うから 誰かにわかってほしいけど 誰にもわからない」という歌詞がある。そのためにまず新しい一歩を踏み出してみる。どの曲にもそんなメッセージが綴られている。
彼は、これまでのインタビューでも「元々はポップスを歌っていた」という話をしてきている。演歌でデビューした時は、その頃を知っているご両親も驚いたのだそうだ。そういう意味でも念願のアルバムと言っていいだろう。
ただ、そうやって"演歌"か"ポップス"かという音楽の「形」で分けてしまうことで大切なことに触れずに終わってしまう気もしている。
彼は、なぜ「ポップス」だったのか、という質問に、そうした自身の音楽体験とは別にこんな話をした。
「もちろん演歌も好きなんですけど、自分の可能性をもっと伸ばしたい、おこがましいけど表現したいことがあった。自分の経験を通して表現したいと思ったら想いが溢れてしまって、それを言葉にするにはポップスじゃないと出来なかったんです」