ソフトボール女子日本代表の山田恵里選手が2020年6月18日、新型コロナウイルスの影響で全国高校総体(インターハイ)が中止になった高校生にエールを送る「明日へのエールプロジェクト」の企画、「オンラインエール授業」に講師として登場した。
入部したての1年生に、引退試合を来月や再来月に控えている3年生と、全国の高校ソフトボール部の男女が技術やメンタルにまつわるさまざまな質問をぶつけた。山田選手は真剣な顔つきで言葉を探し、身振り手振りを交えて説明。1つ1つの問いかけに大きくうなきながら応じていた。
いかなる時でも「目標を常に持ち続けて」
高校時代、インターハイで2連覇を達成した山田選手。冒頭「自分の原点は高校時代」と振り返り、当時の基本練習の反復が今の自分に繋がっていると話した。
こうした気づきや経験を踏まえ、山田選手が繰り返し大切だと訴えかけたのが「目標を常に持ち続けること」。京都在住の高校3年生から、「地元で50日後に行われる大会に向けたモチベーションの持ち方」について問われると、山田選手は「京都大会での目標は何ですか?」と逆質問。「京都一になること」という返事を受け、こう答えた。
「毎日同じ練習を繰り返していると、目標を見失ってしまったり、忘れてしまったりします。どんな練習をしていても『京都で一番になる』という思いを持ち続けること、勝つために今何が必要で、自分やチームがどういう状態かを理解しながら1日1日の練習を進めていくのが大切です」
また山田選手は、金メダルを手にした2008年の北京五輪後に競技が五輪から外れたことで「燃え尽き症候群になって、気持ちが入らず競技をやめようと思ったことも正直あった」と明かした。インターハイが中止になった今年の高校生たちと同様、「目標を見失って苦しんだ」過去があったからこそ、目標を設定して取り組む重要性やソフトボールができる喜びを知ったという。
1番打ちづらいピッチャーはあの「レジェンド」
「今まで対戦してきたピッチャーの中で打ちづらい人は誰ですか」
こんな鋭い質問も飛んだ。山田選手は「そうですね・・・」と少し考えるそぶりを見せた後、日本代表ではチームメートの上野由岐子選手を挙げた。山田選手にとっては1歳年上で、高校時代からの旧知の間柄だ。
「何度対戦しても簡単には打てない。ボールが早いだけではなく変化がついていたり・・・あとは頭が良い方なので『考えてボールを投げている』感じがします。私は配球を読むタイプなのですが、すごく考えさせられる。なかなか打てないですけど、上野さんと対戦できるって幸せだなって思って打席に立っています」
東京五輪を見据えてトレーニングに励んでいる山田選手は、授業終了後の囲み取材で高校生たちのひたむきな姿勢に触れ、「逆に力をもらえた」と話した。