コロナと自転車 疋田智さんは「条件つき」でツーキニスト増に期待

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都市文化として定着するか

   外出自粛の解除後、自転車による通勤が増えそうなことは大いに想像できる。

   まさに引用誌の冒頭記事「HEAD LINE」でも、「自転車通勤推奨の落とし穴」と題して、利用者が急増した場合の道路事情を案じている。ヘルメットもかぶらず、走行にも慣れていない「にわかツーキニスト」が増えるだろうと。疋田コラムの前向き思考とは逆のようだが、疋田さんはこちらの記事にも登場し、「幹線道路は避けて、交通量の少ない道を選ぶことこそがサイクリストのソーシャルディスタンスだ」と語っている。

   コロナ禍が変えたものはいくつもあるが、一部は新たな生活習慣、社会常識、企業文化などの形で定着していくだろう。例えば「三密」防止の工夫や、やたら大声で話さないこと、「出勤より体調」などなど。全社員をテレワークにしても支障がなかった小企業が、本社として借りていた部屋を解約する話をテレビでやっていた。「新たな日常」である。

   自転車通勤は、同好者を増やして都市文化として定着するのだろうか。それにはまず、いまは車道の左端に申し訳程度に描かれている二輪レーンを拡充するなど、走行環境の改善が前提になる。利用者だけ増えたのでは、歩行者や自動車との事故が増すだけだろう。

   自転車に限らず、こういう過渡期こそ専門誌や専門ライターの出番である。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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