各地で人手が増え、通勤電車の混雑ぶりも少しずつ戻りつつある。
「NHK NEWS WEB」が2020年6月5日付記事で、理化学研究所(理研)が公表した「満員電車における換気」に関する調査結果を報じた。「時速80キロの電車が窓を開けて走行した場合でも通勤ラッシュ時のような満員の状態であれば、空気の流れが止まり、十分な換気ができないことも分かった」という。
首都圏を走る鉄道各社に、換気の取り組みを取材した。
東京メトロは空調と窓開け、「今後も状況踏まえて改善」
東京メトロ広報部は「(1)冷房や送風、そして換気機能がついた空調、(2)窓開けを併用している」との回答だ。東京の地下を走る同路線は天候の影響を受けにくいため、梅雨時期も引き続き窓を開け「気温に応じて送風と冷房を使い分けながら車内を快適に保っていく」という。理研の研究結果を伝えると、電車混雑時に特別に行っている換気の施策は「現状ない」が、「今後も状況を踏まえて、改善のための対応をしていきたい」と話した。
東日本旅客鉄道(JR東日本)も空調と窓開けによる換気を実施している。広報担当者によると、現在東京都心に乗り入れている車両は各線合わせて7090両あり、その大部分が換気機能つきの空調を有している。これがない56両は、屋根上にベンチレーター(編注:換気のために室内と室外とを連絡している換気装置)を備えている。同様に理研の研究結果を踏まえて質問したが、現時点では電車の混雑度によって対応は変わらないようだ。
「満員電車」を可能な限り作らない努力
小田急電鉄はどうか。広報に取材すると、「ロマンスカーなどの特急車両は換気機能付きの空調設備があるが、通勤車両は一部を除いてありません。そのため窓を開けた状態で出庫しています」。多くの通勤車両は、窓開けや駅到着時の扉開閉による換気がメインだ。地上を長く走るため、悪天候が多い梅雨時期の対応についても「頭を悩ませている」。気温も上昇していくため「エアコンと窓開けの両立で室内温度の調整と換気を図っていくかもしれない」と語る。
理研の調査結果については「確認していないため、現状では何も言えない」。ただ全ての乗客がより安全かつ快適に過ごせるよう、今後も換気に関する施策を改善していきたいと話した。
まず「満員電車」を可能な限り作らないよう努力しているという。駅のラッシュ時間帯利用状況を伝えたり、公式スマートフォンアプリ「小田急アプリ」で、小田急線各駅の改札口付近のリアルタイム映像を配信したりすることで、乗客にオフピーク通勤の協力を呼びかける。