カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。今週はついに競馬の大祭典、日本ダービー(2020年5月31日、東京競馬場、芝2400メートル)だじぇい。コロナの影響で人間様の観客がいないレースだけど、馬がビックリするようなおバカな歓声もないし、馬たちはなんにも邪魔されずに実力を発揮できるきゃすう。去年は12番人気のロジャーバローズが勝ったけど、対抗〇にして3連単を当てたカスヨ姉さん、今年はコントレイル、サリオスの2強で決まりきゃすう? それとも、また大穴が出るきゃすう?
東京コースは内側が有利
カスヨ 2強はなかなか崩れないんじゃないかしらね。わたしの本命◎はサリオスよ。クラシック第1冠の皐月賞は先行して結局、コントレイルの2着だったわ。でも、コースの外を通ったコントレイルに比べて、内側は馬場状態が悪かったからね。コントレイルの差しに屈した形になったんだけど、普通であれば引き離されるところを食らいつくという勝負根性を見せてるし、最終的には差の無い競馬だったから今度は逆転の可能性があるわね。ずんぐりと巨大な体型からマイラーという印象があるんだけど、父ハーツクライは国内で唯一ディープインパクトを破った馬でもあるし、サンデーサイレンス系の中でもスタミナに優れているわ。母も現役時代はドイツのオークスを勝つなど、中距離で活躍しているし、2400mという距離は持つはずよ。ともかく、先週のオークスもそうだったけど今の東京競馬場は内側を走ったら止まらないわね。先行して内側を走る、これが勝つ方法よ。サリオスはそれができるわね。
カス丸 ふーん、なんで内側が有利きゃすう?
カスヨ JRA(日本中央競馬会)のサイトを見て、馬場状態がどうなってるか調べれば、その理由がわかるわよ。JRAはとにかくダービ-で最高の馬場を作るために全精力を上げてきているの。それが結果的には、有利なのはコースの内側を走るということになってるわね。具体的に言うと、内側はまず芝が違うのよ。競馬場の芝は日本固有の野芝なんだけど、昔の競馬場を思い出せば、コース内側の芝が潰されて土が出ている箇所が多かったものよ。ところが、10年くらい前から、JRAが品種改良したエクイターフ(馬用の芝)が導入されたのね。これは最初に福島競馬場に導入されたんだけど、当時のローカル新聞の記事をみると、芝の地下茎とかが従来の2倍あるという強靭な芝なのね。野芝というのは洋芝と違って、根が横に広がるから上から見ると、網の目を張ったようになり、大げさに言うと地面全体がトランポリンみたいになるわけね。ということは、馬は飛び跳ねて走れるようになるのよ。ここ数年、東京競馬場でレコード続きなのはそのせいよ。ところが、JRAのサイトには東京競馬場のどこがエクイターフなのかが書いてないわ。福島の場合は、最後の直線のコース内側だったわ。つまり全部が全部じゃなかったわけよ。ということは、東京競馬場の場合も内側が有利なのだからやはり内側を中心に植えてあると推測できるわね。先週のオークスでも大外に出したデゼルやリアアメリアなんかの末脚自慢がいつもと違ってモタモタしたのは、そういうこともあったんじゃないかしら。オークスの前日のメーンレース、メイステークスを見た人はわかったと思うんだけど、1着になったユタカちゃん(武豊騎手)のアイスストームなんて、前が詰まっているんだからこれまでだったら外に持ち出せばいいのにコース内側の馬群を無理やり抜け出して勝ったわ。さすがユタカちゃんはちゃんとわかっているのよ。今週は内柵が外側に3メートルほどずれるCコースに変わるわ。内の荒れたところがなくなるから、前々で競馬ができる先行馬が断然有利になるわよ。その点からしてもサリオスは先行できるから皐月賞と違って勝てると思うわ。
カス丸 ガジュマル爺はコントレイルだよ。爺の本命◎はずっと1番人気ばかりだじぇい。
1枠が要注意なワケ
ガジュマル爺 1番人気を本命にしとるわけではないんじゃが、わしの考えは前々から言っておるように強い馬を選んどるわけじゃ。コントレイルは負けなしの4戦4勝じゃ。昨年暮れのGI・ホープフルステークス(中山、2000メートル)に続くGI2勝目を手にした皐月賞では、約3か月半の休み明けにもかかわらず、先に抜け出したサリオスをねじ伏せるように勝ったのが実力じゃ。今度は東京コースじゃが、デビュー2戦目の東京スポーツ杯2歳ステークス(GIII、1800メートル)で後続を5馬身引き離し、従来の2歳コースレコードを1秒4も上回る1分44秒5で圧勝しておる。父、ディープインパクト譲りの瞬発力は、広い東京コースで一段と引き立つわけじゃ。3枠5番の絶好の枠順を引いたから、まずは中団につけて、馬場の真ん中よりやや内側を堂々と突き抜けてくるはずじゃ。皐月賞のように外には行かんはずじゃから、カスヨが説明したとおり、コントレイルも内を突いてくるはずじゃ。
カス丸 2強が本命じゃ、何の予想にもなんないじぇい。2強を負かす馬、去年のロジャーバローズのような馬はいないきゃすう?
カスヨ 去年はロジャーバローズのおかげでいい思いをさせてもらったからいうけど、さっきも言ったように最近のダービーはね、馬場の影響もあって1枠1番の馬が活躍する傾向があるのよ。ロジャーバローズも最内だったわね。JRAのビデオを見ればわかるんだけど、スタートゲートの内2枠分空けられているのよ。つまりダービーの1枠1番はね、ゲートの一番端じゃないのよ。これはオークスも同じなんだけど、ダービーの後の目黒記念(GII、2500メートル)だと空きがないわよ。カス丸も今度確認したらいいわ。本当に一番端っこの内側から出走したら窮屈で仕様がないけどね。つまり左側に他の馬がいないし、適度なスペースができてるし、スタートしやすいわけ。そして内ラチ(柵)に沿って走れば、馬場の痛んでいない有利なところを走れるため、昨年のロジャーバローズのように人気薄やノーマークの馬がアッと驚く走りをすることが多いのよ。特に、ロジャーバローズは皐月賞組とは未対戦だったから、一発があるとしたらこの馬だわと思い対抗にしたのよ。結果オーライだったんだけど、今年の1枠1番に入ったのはサトノインプレッサ。だから対抗〇はこの馬よ。しかも皐月賞の上位組とは未対戦だし未知の魅力があるわね。また、コントレイルと同じきゅう舎だから、2頭出しの場合は往々にして人気薄が馬券になることも多いのよ。だから一発があるとしたら今年はサトノインプレッサに要注意よ。
カス丸 ふーん、1枠狙いきゃすう。爺の対抗〇は皐月賞をスルーしてダービー狙いに徹したワーケアだじぇい。2強に勝てるきゃすう?
ガジュマル爺 ワーケアは、2歳時はコントレイルが勝ったGI・ホープフルSでコンマ5秒差の3着、ディープインパクト記念弥生賞(GII、中山、2000メートル)をサトノフラッグの2着と好走してきたんじゃ。皐月賞を見送ってゆったりしたローテーションで臨むわけじゃ。しかも東京コースは2戦2勝で、デビュー2戦目のアイビーS(オープン、芝1800メートル)を3馬身差で快勝した脚は強烈じゃった。父ハーツクライは2500メートルの有馬記念(GI、中山)で、あのディープインパクトを負かした馬じゃから、ディープの仔、コントレイルを負かすなら、サリオスよりもこの馬というわけじゃな。
カス丸 皐月賞3着のガロアクリークや弥生賞でディープインパクトのような勝ち方をしたサトノフラッグはダメきゃすう?
先行できて一発がありそうなのは?
カスヨ わたしはガロアクリークが押さえ△の1番手よ。ダービーの前哨戦をみるとね、今年は皐月賞で敗れた馬や皐月賞の前哨戦で負けた馬が結構勝ってるのよね。つまり皐月賞組の能力が高いという証拠ね。ガロアクリークはスプリングSを勝ちながらもフロック視をされていたのか、皐月賞では人気がなかったわ。でも最後は追い込んで3着と実力を見せたのね。直線が長い東京競馬場だったらもっと2強に迫れたということよ。
ガジュマル爺 わしは、サトノフラッグが押さえ△じゃ。弥生賞に勝って臨んだ皐月賞は、2番人気で2強崩しの最有力候補じゃったが、5着に終わってしもうた。ダービーで人気を落とすようなら再度狙ってみたいもんじゃ。騎手の乗り替わりが減点材料とされるダービーなんじゃが、鞍上が皐月賞に乗ったクリストフ・ルメール騎手から、弥生賞を勝った時の武豊騎手に戻るのが吉と出るじゃろ。ディープそっくりと言うておったのは武騎手じゃからな。ディープなみの末脚を見せてくれるはずじゃ。
カスヨ まあ、東京コースになって有利になる馬が狙い目ね。ダーリントンホールなんかがそうだと思うわ。共同通信杯(GIII、1800メートル)で勝っているし、能力は高いわね。鞍上も皐月賞と同じミルコちゃん(ミルコ・デムーロ騎手)だから、プラス要素ね。あとはダービーと同じ2400メートルのコースを使う青葉賞組ね。今年は2着だったヴァルコスが出走するわ。皐月賞上位組とは対戦してないし、いい脚を長く使えるタイプだからおもしろいわよ。ただし、大外枠になってしまったのが痛いわね。さっき話したように、内を走ることができればよかったんだけどね。 最後はヴェルトライゼンデね。2歳時はホープフルSでコントレイルの2着と成績は安定しているのよね。皐月賞では初めて連対できなかったけど、兄は菊花賞馬ワールドプレミアだから距離が延びる点はプラス材料よ。
ガジュマル爺 わしの推しはレクセランスじゃ。皐月賞で11着と惨敗だったんじゃが、新馬~500万下特別~オープンを3連勝。勝負強さがあり、すみれステークス(オープン、阪神・芝2200メートル)では2着馬(アリストテレス)をきっちりと差し切った末脚は一級品じゃ。父はディープインパクトじゃから、このコースは合うじゃろうし、2枠4番の内枠で、しかも先行できるから楽しみな一頭じゃ。 最後はビターエンダーじゃな。2戦目の未勝利戦(東京、2000メートル)を勝ってから、京成杯(GIII、中山、2000メートル)、共同通信杯、皐月賞とずうっと重賞路線を歩んできた馬なんじゃ。前走のダービートライアル(1着に優先出走権)プリンシパルステークスでは、きっちり勝利。この馬も先行できるのが強みじゃ。穴狙いの一頭としてはこちらも興味津々というもんじゃ。
カス丸 うーん、2強が強そうだじぇい。でも去年もサートゥルナーリア1強といわれて、開けたら4着だったじぇい。競馬に絶対はないきゃすう。ここは2歳未勝利戦の東京コース2000メートルをレコードで勝ったことがあるサトノフラッグが本命◎だじぇい。馬場を熟知した武騎手が内を通ってマジックを見せてくれるきゃすう。