過密と過疎の二極化が生じている現状
日本が人口減少局面に入っていることは広く認識されるようになっており、人口減少が日本の社会経済に様々なマイナスの影響を与える懸念も広く共有されていると思われる。多少は人口も減ったほうが良いのではないかと考えるときには、ちょうどよいところまで減少した人口規模で安定するためにはそのかなり手前の時点で出生率が人口置換水準まで回復していなければならないことを忘れてはいけない。また、人口減少は過密の問題を緩和するのではないかと考えるときには、人口減少の中で東京圏への人口移動が止まらず過密と過疎の二極化が生じている現状をよくみてみる必要がある。生産性の向上や住宅事情の改善などは、それぞれかなりの努力が必要で、人口減少が自動的にこれらの問題を解決してくれるわけではない。
人口は、戦争や大正時代のスペイン・インフルエンザのような多くの死をもたらす感染症、あるいはベビーブームのような大きな出来事がなければ、かなりゆっくりと変化する。日々過ごす中では感じないが、あるとき振り返ってみると大きな(そして不可逆的な)変化が生じているということになる。既に日本の人口の慣性力はかなりのマイナスを内包している、今、相当な危機感をもって向き合う必要があるだろう。
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