全国で緊急事態宣言が解除され、各地で人出が増え始めた。ツイッターには外食や美容院を久々に利用した人たちの投稿が複数見られる。
中でも美容院はサービスの都合上、客とスタッフが近距離で長い時間接する必要に迫られる。そのため客とスタッフ双方に「マスク着用必須」と定めている店舗もあるが、マスクをした客のスタイリングは難易度が高そうだ。新型コロナウイルス感染対策と従来通りのサービス提供を、どう両立させているのか。
もみあげ周りも処理しやすくなる「ひと工夫」
東京・銀座にあるヘアサロン・ネイルサロン「luludi by APHRODITE GINZA」はスタッフ・客全員のマスク着用が必須だ。同店舗を運営するティーツーエー/APHRODITE GROUP(東京都中央区)の代表取締役・谷澤泰介氏によると「カットやカラー、パーマなど施術内容に関係なく、お互いにマスクをつけた状態で対応」している。顔周りの毛をカットする時はやりにくそうだが...。
「マスクのゴムひもをクロスさせ、バッテンにして耳にかけてもらう(画像2)と、もみあげ周りのスタイリングもしやすいですね。このポイントに気付いてからは特に不便なくやっています。施術後にマスクが汚れていたら、無料で新しいものと交換しています」
洗髪時は客にマスクを外すかどうか選んでもらっているが、外した場合でも医療用ガーゼを客の顔面に乗せたうえで「おしゃべりはしない」などの工夫を凝らし、飛沫飛散防止に努めているという。
マスクの上にフェイスシールドも着用
谷澤氏はマスク着用のほか、スタッフと客の検温、店内の換気、「ドリンクサービスを使い捨ての紙コップでの提供に切り替え」、「トイレを通常の3倍の頻度で掃除する」などの対策を打ち出し、「利用者の心のケア」を重視した運営を行っていると語る。
2020年5月27日現在、同店は予約が取りづらい状態だが、それでも通常の8割~9割程度に抑えて稼働させている。理由は「今は、『徹底した感染対策を行っていること』を理解してもらい、安心して利用していただくことが重要と考えているため」。
「スタッフにはマスクだけでなく、さらにフェイスシールドも装着して『二重防護体制』で施術に臨んでもらっています。頭につける医療用とは違い首にかけるタイプで、下に穴が開いていないので飛沫が落ちるのを防いでくれるものです。利用客の不安が少しでも和らげばと思って導入しているものですが、気温上昇に伴って熱中症のリスクも高まるので、各人で休憩を取る間はマスクを適宜外すなどしています」