ギリシャ「苦難の20世紀」を生き抜く テオドラキス「ヴァイオリン・ソナチネ 第1番」

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聞いていて不思議と元気の出る曲

   今日の1曲は、1952年、彼の最初の創作期に分類される時代に書かれたヴァイオリンのためのソナチネ、第1番です。

   3楽章からなるこの曲は、急~緩~急とオーソドックスな構成で、明らかに伝統的な和声法も使っており、20世紀に盛んとなった調性のない「現代音楽」では決してないのですが、独特のハーモニーと、彼自身の投影であるようなエネルギッシュさを持ち、聞いていて不思議と元気の出る曲となっています。室内楽作品としてヴァイオリンとピアノで演奏されるのですが、後に、ヤニス・サンプロヴァラキスによってソロ楽器をサクソフォーン、伴奏をオーケストラとした「協奏曲バージョン」も作られて、「クレタ小協奏曲」と名付けられています。こちらも、サックスのあたたかい音色が、南の島ギリシャを思い起こさせ、ヴァイオリンとは違ったパワーみなぎる1曲となっています。

   3楽章全体でも10分ほどしかかからない曲ですが、第二次世界大戦と戦後のギリシャを生き抜き、1000曲以上を作曲し、まだお元気な「ギリシャ最大の現代作曲家」テオドラキスの、不屈のエネルギーを感じるには十分な曲となっています。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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