ハンドソープがなくなったら、固形せっけんで代用できるか。女性向けウェブ掲示板「ガールズちゃんねる」に2020年5月21日、ハンドソープを手に入れられず不安を感じている投稿者が相談を書き込んだ。「違いはやはり殺菌力なのでしょうか。食器洗剤やボディソープで代用できるとも聞きますが」と気にしている。
J-CASTトレンドは、1890（明治23）年からせっけん製造を手がける花王に疑問をぶつけた。
-
固形せっけんはハンドソープの「代用品」になる？
泡立てないで手を洗うのはダメ
「『殺菌』を目的としているのであれば、『殺菌』表示のない固形せっけんを代用品にするのは難しいです」
広報担当者はこう回答した。例えば、同社が販売する弱酸性ボディシリーズ「ビオレu」の「薬用泡ハンドソープ」などの「医薬部外品」は医薬品医療機器等法（薬機法）に該当しており、殺菌成分入りのため「殺菌（菌を死滅させる）」、「消毒」という表現を使える。このように効果成分の配合の有無で「殺菌」や「除菌」など表示が変わるため、殺菌を重視するなら殺菌効果を示す品を選ぶのがポイントのようだ。
一方「手の表面についた汚れを落としたり、常在菌などを減らしたりする『除菌』であれば、固形せっけんでも十分可能」という。ただし「泡を立てずに洗う」のは避けてほしいと、理由をこう説明した。
「手は複雑な構造をしており、爪やしわで思った以上にでこぼこしています。きめ細かな泡であればそこに入り込んで汚れを浮かすことができ、『効果的な手洗い』に結びつきます。一方、せっけんを手にすりつけて一生懸命こすっても、泡立ちが悪いと汚れ落ちの効果がどうしても低くなってしまいます。『時間をかけただけ、しっかり手を洗えている』とは限らないのです」（広報担当者）
ボディソープでは代用可能？
では、ハンドソープの代わりにボディソープはどうか。花王の広報担当者は、配合成分の問題や「主たる用途以外の使用に当たる」点を挙げつつも「手も体の一部なので、汚れを落とすという観点では『全く使えない』、『意味がない』とは言えない」と答えた。
せっけんもボディソープも汚れや菌を取り除く成分である「界面活性剤」が含まれており、肌を清潔にする役割は同じだ。ただし先述したとおり薬機法に基づく「殺菌」表示がなければ、ボディソープでも殺菌はできない。