「絵本専門店」は多くの人を迎え入れる存在
絵本専門店としての存在意義とは何か。今本さんに聞くと、まず絵本の「垣根の低さ」を挙げた。
「絵本は子どもの頃に読んでもらったもの、自分の子どもに読み聞かせたもの、誰にも何かしら接点があり、特殊な本ではありません」
これは、同店の「武器」にもなっている。神保町には「哲学」「建築」など分野に特化した専門書店が多く、店それぞれに個性がある。歴史ある本の街で「絵本専門店」という存在は、子どもから大人まで多くの人を迎え入れてくれる。
一方で、専門店としてのディープさも魅力だ。絵本が好きな人とのコミュニティーを作るには、一般的な新刊書店よりも細分化して興味がわかれていたほうが集まれるという。「うちは隠れたコンセプトに『人が人に出会う場所』があります」と、今本さん。加えて、新刊を並べ、店を続けていくこと自体が、絵本業界への貢献になるのではと考える。
しかし、経営が悪化すれば閉めるしかないとも。新型コロナウイルスで様々な店が悲鳴を上げているが、「本当に必要かどうかは、お客様に委ねられている部分もあるかもしれません」と述べた。
ゴールデンウィーク明けの5月7日から、店の営業を再開予定だ。今本さんは、「この状況で『来てください』とはなかなか言えませんが、お店を1日でも長く続けたい」と願う。