170店以上が軒を連ねる東京・神保町の古書店街に、絵本専門店がある。「Book House Cafe」だ。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で客足が激減し、経営状態が悪化。そこで2020年4月19日に「サポーター制度」を立ち上げ寄付を募っている。店主の今本義子さんに、書店存続への思いを取材した。
「まずはお願いしてみようか」
同店は、前身の絵本専門店を引き継ぐ形で17年5月にオープンした。カフェを併設し、夜はバーも運営している。平常時だと土日は親子連れで混みあうが、神保町は年齢層の高い人も多く「0歳から100歳まで」が利用できる店を目標にしている。
絵本の原画展や読み聞かせなどのイベントを開催してきたが、3月に入ると軒並み中止になった。店は臨時休業に入り「コロナが終息するのが先か、店が潰れるのが先か」という状況の中、サポーター制度を作った。
「うちだけがSOSを出して良いのか悩みましたが、まずはお願いしてみようか、と。それで反響がなかったら、傷つくこともなく、ある意味私たちはもう必要とされていない、と割り切ればいい」
サポーター制度では、個人は1口3000円、法人は1口1万円の寄付ができる。寄付すると数種類の特典が選べて、後に本やイベント参加費、店内の飲食代として使える。20年4月24日時点で200人ほど集まった。今本さんは「『大好きなお店です』など愛にあふれたメッセージもいただき、返信しながら泣いています」と明かした。同制度は当面続け、集まった金額は店舗の家賃などに充てる。