新型コロナウイルス感染拡大の緊急経済対策として、国は1人あたり10万円の特別定額給付金を支給する。これを利用し、早くも詐欺行為が発生している。
独立行政法人国民生活センターは、公式サイト上で2020年4月に寄せられた詐欺に関する相談事例を紹介している。
電話で個人情報聞き出す「絶対教えちゃダメ!」
10万円の給付金は、住民基本台帳に記録されている人を対象に、申請者の本人名義の銀行口座への振込みで支給される。
国民生活センターが紹介するのは例えば、次のような事例だ。
50代男性は、知らない相手から「マイナンバーを持っていない人は複雑な手続きが必要になる。家族にマイナンバーカードを持っている人はいるか」と電話があった。「いない」と伝えると、国から代理申請業務を委託されている団体を名乗り、氏名、住所、電話番号、振込銀行口座を教えると一日も早く困った人に給付することができる、と言われた。
40代女性は、市役所を名乗る宛先から「新型ウイルス緊急救済措置としてお年寄りの居る世帯に現金入金します」というSMSが届いた。メッセージにはURLが記載されており、アクセスすると金融機関口座番号を入力する画面になるとのこと。
いずれも詐欺と見られる手口だ。国民生活センターは、給付金の手続きに関しては、行政・公的機関、金融機関の職員が訪問して通帳やキャッシュカードを預かったり、電話やメールなどで個人情報や暗証番号を聞き出すことは「絶対にありません」と発表している。行政から委託されたという業者などからの電話やメールについても、反応せず、決して個人情報を教えてはダメだ。
怪しいメール「受信しても絶対アクセスしない」
高市早苗総務相は2020年4月20日から24日に行われた会見の中で複数回、特別定額給付金に乗じた詐欺の注意喚起をした。24日にはこうした詐欺の対策として、総務省が電気通信事業者の関連4団体に対して個別の利用者にショートメッセージサービスなどの手段を用いて詐欺行為への注意を促す要請をしたという。
4月22日にはau(KDDI)公式ツイッターのお客様サポートアカウントが、詐欺メールに注意するよう呼びかけるツイートを投稿した。怪しいメールには「受信しても絶対アクセスしないように」と強く訴えている。