弥生賞馬はなぜ勝てなくなったのか
カス丸 爺の単穴▲は弥生賞(GII、中山、2000メートル)を勝ったサトノフラッグだよ。
ガジュマル爺 そうじゃ。3連勝でサリオス、コントレイルの2強崩しの最有力候補にのし上がってきた馬じゃな。2着馬のワーケアをあっさり抜いていった脚は見どころが大いにある馬じゃ。これまでは最終コーナーで先頭に並びかけていくレース運びだったんじゃが、クリストフ・ルメール騎手がどんなレースをするか、同じようにいけば末脚はディープインパクトとの仔じゃから強烈なものがあって期待できるというもんじゃ。
カスヨ でも、ここ10年をみると、弥生賞馬は皐月賞が勝てなくなってるわね。ちょうど10年前にヴィクトワールピサが勝った後、勝利がないのよ。というのも、同じコースを使っても弥生賞と皐月賞って、まったく違ったレース展開になるのよね。弥生賞はレース途中のスピードが緩くなって最後の上がり3ハロン(最後の600メートル)勝負みたいなレースになってしまうわ。これに対して、皐月賞はレース途中もスピードが付いたまま最後までスピード勝負って感じかしら。たとえば、7年前に勝ったロゴタイプ。この馬は超一流とまではいえなかったけど、レース展開の仕方が皐月賞を勝つ秘訣を見事に示してくれたわね。具体的にいうと、4年前にロゴタイプはGIレース安田記念(東京、1600メートル)を勝ったことがあるわ。このとき、なんと8番人気だったのね。でも、なぜ勝てたのか。それは最初から先頭に立ち、最後まで他の馬に抜かせなかった走りをしたのね。つまり先頭に立って、ある程度のスピードを出すわけ。すると、後ろで追走する馬たちは追走するだけでエネルギーを使ってしまい、最後の直線に入ったときにはいつもの鋭い脚が使えなくなってしまうわけ。こういう走りができる馬が皐月賞には合っているのよ。で、サトノフラッグなんだけど、そういう走りができるかどうかってことなのよね。確かに弥生賞ではディープインパクトが勝った時のように、3コーナーから徐々に前に進出して最終コーナーではもうトップに立って、最後の直線で他馬を引き離したのは強かったわ。しかも、馬場が重でね。同じ馬場が湿った皐月賞といえば最近では、2年前のエポカドーロが勝った年ね。この時は稍重で、前半1000メートルが59秒2、後半が61秒6だったわ、サトノフラッグが勝った弥生賞は61秒1-61秒8ね。やはり前半が2秒近くも遅いのよね。どうしても途中が緩むんだわ。だから前半が速くなった時に同じ脚を使えるかどうか、だわね。そこのリスクを考えるとわたしは押さえ△までよ。
カス丸 弥生賞馬が勝てない理由が少しわかったじぇい。あと穴馬はどんなのがいるきゃすう。
カスヨ さっきの話の続きでいくと、最近、相性がいい共同通信杯とスプリングSはペース配分が皐月賞に似ているところがあるのよ。だから、この両方のステップレースを使った馬に注目ね。まずは、スプリングSの勝ち馬、ガロアリークよ。コントレイルが勝った暮れのホープフルSで2着だったヴェルトライゼンデを破ったところに魅力があるわね。それともう一頭は△ビターエンダーよ。さっきから言っている共同通信杯で勝ち馬とタイム差なしの2着よ。しかも逃げて粘っているから見込みがあるわね。
ガジュマル爺 わしは共同通信杯で1番人気じゃったマイラプソディじゃな。結果は人気を裏切り4着じゃったが、デビュー戦からオープン特別、GIIIの京都2歳ステークス(京都、2000メートル)を3連勝しておる。鞍上も新馬戦から手綱を取る名手、武豊騎手なら、人気を落としての一発を秘めておるわい。それと、1枠2番に入ったレクセランスじゃな。この馬も、新馬、500万下特別、オープンと3連勝中じゃ。どのレースも、ブッチギリというような派手さはないんじゃが、きっちりと差し切る勝負強さがある。父ディープインパクトの血を引く魅力もあるし、内々を突いて最後の最後に、直線抜け出せれば一発があってもおかしくはないわい。
カス丸 有力馬がたくさんいるじぇい。でも、今年は馬場が湿るから湿った馬場で勝ってきた馬を選ぶきゃすう。ここは重馬場で最速の末脚をみせたサトノフラッグが本命◎だじぇい。