新型コロナウイルスに感染し、入院していた志村けんさんが2020年3月29日に肺炎のため亡くなった。70歳だった。
そもそも「肺炎」とは、「細菌やウイルス感染などさまざまな理由で肺に炎症が起こっている状態で、一般的には急性の感染症の場合」(厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」より)をいう。通常の肺炎と新型コロナウイルスによる肺炎の違いを含め、この病気についていま一度考えてみたい。
高齢者の肺炎は急激に症状悪化の恐れ
厚労省が調査した、2018(平成30)年「人口動態統計月報年計」によると、肺炎は85~89歳、95~99歳、100歳以上の高齢者の死因第3位だ。70歳以上でも4位と順位は高い。
製薬会社のMSD(東京都千代田区)の公式サイトは、日本人がかかる肺炎の中で最も原因になりやすい細菌として「肺炎球菌」を挙げている。主に小児の鼻や喉にすみついており、咳やくしゃみによって周囲に飛び散って、それを吸い込んだ人に広がっていく。主な症状には発熱、咳、たんなどがあり、風邪とよく似ているため症状から見分けるのは難しい。また、酸素を取り込んで二酸化炭素を吐き出す「呼吸」を行う肺胞に炎症が起こると、息苦しさを感じたり、呼吸が速くなったりする。呼吸困難に至る恐れや、入院が必要なほど重症化する場合もある。
高齢者が肺炎にかかると、発熱や咳、たんなどはあまりなく、なんとなく元気がない、食欲がない、寝てばかりで動かない、意識がはっきりしないといった様子がみられ、急激に症状が進むこともあるという。
肺炎球菌は細菌だ。これによる肺炎は、「肺炎球菌ワクチン」で重症化を防げるほか、抗菌薬がある。もっとも、MSDの公式サイトによると抗菌薬が効かない耐性菌も出てきているため、「肺炎球菌による肺炎なら、かかっても安心」というわけではない。