桜の開花予想が報じられ、東京では3月14日に全国でもっとも早い開花宣言が出された。2020年もお花見シーズン到来だが、今年は新型コロナウイルスの影響で自粛ムードが漂っている。「夜桜でお酒飲んで花見したかったのに」、「花見は今年は行かないな。コロナもあるし」などのツイートが複数見られる。
感染リスクを避けつつ、自宅で花見気分を味わいたい...。こうした時にぴったりのアイテムがある。飲食店用食器メーカーの丸モ高木陶器(岐阜県多治見市)が2020年2月1日に発売した、温度で変化する酒器「冷感桜・白平盃」だ。
熱さ・冷たさを可視化し「温度をデザイン」
この杯に冷たい飲み物を注いで温度が17度以下になると、描かれている桜の枝木に花が咲き、満開になる仕掛けが施されている(画像2)。同じ「冷感桜」シリーズ「シャンパングラス(画像4)」、「グラス天開(画像5)」も同様に、グラスが17度以下に冷えると描かれている桜の花が色付く。
同社代表取締役社長・高木正治氏によると、発売当初から地元紙などに取り上げられたが、3月14日に一般ユーザーがツイッターで「冷感桜・白平盃」を紹介して話題になったことから注文が殺到。「冷感桜」シリーズは売り切れてしまった。
「45度以上の熱い飲み物を注ぐと黒のシルエットが消えて花が色づく酒器『温感盃(大)「桜・紅葉春秋セット」』を、2019年に発売していました。日本酒は熱燗だけでなく冷たい方でも楽しめますし、海外の人にもシャンパンやワインで親しんでもらいやすくしたいと、『冷感桜』シリーズを新たに生み出したんです。熱さ・冷たさを可視化し、『温度をデザイン』することで陶器にイノベーションを起こしたいという思いがありました」(高木氏)
インバウンドの中には「日本と言えば桜」というイメージを持ち、花見を目的に訪れる人もいる。そのため高木社長は、自宅で花見気分を味わう際だけでなく、飲食店でも「冷感桜」シリーズや「温感盃」を使ってもらい、「国内外の利用客との対話に一役買う存在になってくれたら嬉しい」と期待を寄せている。また福祉の観点から温感盃が「高齢者や子どもが、熱いと知らずに飲み物を口に含んでしまうことを防ぐ」アイテムとしても活用できるのではないかと話した。