国民生活センターは2020年3月12日、新型コロナウイルスを口実にした悪質商法に関する注意喚起を公式サイトで行った。そのなかで20年2月に80代女性から寄せられた相談例を挙げ、「少しでもあやしいと感じたらすぐに電話を切り、応じないように」と呼びかけている。市役所の職員を名乗る男から、非通知でこう切り出す不審な電話があったというのだ。
「新型コロナウイルスが流行しているので、気を付けるようにと高齢者に電話しています」
金銭的な被害なくても個人情報知られる恐れ
公式サイトによると、市役所などの行政機関の職員が、非通知の電話で「新型コロナウイルスに気を付けるように」と連絡することはない。こうした電話は金銭的な被害はないものの、消費者の個人情報の入手や所在確認を目的に電話をかける「アポ電(アポイント電話・アポイントメント電話)」の可能性が考えられるそうだ。
国民生活センターは別の80代女性にかかってきた不審な電話例も紹介している。業者から、
「新型コロナウイルスの感染を防ぐために、行政から委託を受けて消毒に回っているが、どうか」
と電話があったため、「行政とはどこか」と尋ねたが答えがなく、「費用はかかるのか」と質問しても「面積によって違う」と言われ、要領を得なかった。翌日も同じ業者から電話があり、「新型コロナウイルス感染防止のパンフレットを持参したい」と言われたが、いらないと電話を切ったという。
国民生活センターは「業者の来訪に応じると高額な商品やサービスを勧誘される可能性がある」と指摘している。また「行政機関が、新型コロナウイルスに関して特定の業者に消毒を委託するケースは、現在のところ確認できていない」としつつ、あやしいと思った場合は委託したという行政機関名を聞き、事実かどうかを確認したり、消費者ホットライン「188(いやや!)」に相談したりするよう勧めている。