謎の女性との叶わぬ恋 芸術と愛の国イタリアを表現、リスト「ペトラルカのソネット」

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リストの精神世界がうかがい知れる名曲

   その曲調は、いずれも、苦難と甘美さが混在したものであり、メロディーメーカーのリストの実力がいかんなく発揮されています。特に、最後の第123番は、リストの代表作「愛の夢」にも通じるような耽美的なメロディーに溢れ、最終曲である第8番の「ダンテを読んで」と対象をなし、そのヴィルトゥオーゾ表現による厳しい世界を準備する曲となっていますが、私は、この曲は単独でも、リストの精神世界がうかがい知れる名曲として成立しているな、といつも感じて弾いています。

   時あたかも、イタリア本国は受難のとき。ペトラルカが愛したラウラは、ペストで亡くなったということになっており、中世の時代にも欧州は幾多の苦難を乗り越えてきました。

   リストの「ペトラルカのソネット」の3曲は、現世の苦難の中に心の平安をもたらしてくれる、こういった厳しい時にじっくり聴き込みたい、名曲です。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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