「マスク限定ライブ」模索したV系バンドの葛藤 開催に立ちはだかる新型コロナ

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「子どもが学校休んで、大人がライブやって」はダメ

   ローズ伯爵さんが自身のツイッターで「マスク限定ライブ」の詳細を告知したのは20年3月1日。しかし、その3日後の3月4日、突如ライブの開催延期を発表する。

   背景の一つに、20年2月15日、大阪市のライブハウスを訪れていた客が、相次いで新型コロナウイルスに感染した事実があった。このライブハウスの定員は200人。VAMPIRE ROSEが予定していた使用会場と同程度の規模で、大きな懸念となった。

   それ以上に重視したのが、ファンへの配慮だ。家族に「ライブに行くならしばらく会わない」と参加を反対されていたファンもいたという。

「子どもたちは、大人が『学校に来ないでください』というから学校を休んでいる。子どもからすれば、大人の言うことは絶対。にもかかわらず『あの人たちは大人なのにライブをやっているよね』となったら、それは大人としてダメだなと。感染者が出る、出ないの問題じゃない」

   葛藤もあった。周囲の関係者からは、ギリギリまでライブをやってほしいと言われ、心が揺らいだ。

   バンドは悩んだ末、ライブを中止ではなく延期とした。ローズ伯爵さんは語る。

「マスクをつけたらファンの顔が見えない。ファンからすれば、僕らの表情も目だけしか見られない。この決断が一番よかったかどうかはわかりませんが、気持ちの面で『中止にしなかった』ということはすっきりしています」

   当初の開催予定日だった3月9日には、YouTubeでライブ配信を実施する。そして、代替公演は20年5月7日に同じ会場で開催予定だ。

「あんなこともあったね、と笑い話にできるようなライブにしたいですね」

(J-CASTニュース編集部 佐藤庄之介)

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