臨時休校せず授業再開決めた町も 新型コロナ対策に翻弄される子、親、教育者

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   政府からの要請を受けて、全国で多くの小中高校などが臨時休校の措置を取っている。ところが2020年3月3日、栃木県茂木町は公式ウェブサイトで、3月10日から3月24日まで休校を予定していた町立の小中学校について、通常通り授業を実施すると発表したのだ。

   急な休校決定に、これまた急な授業再開――振り回される子や保護者、学校現場の人たちはどう思うのか。それぞれの立場から、意見を聞いた。

  • 新型コロナ拡大する中、通常授業が復活したら
    新型コロナ拡大する中、通常授業が復活したら
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保育園や幼稚園は通常運営、給食も提供できる

   茂木町は通常授業の実施理由について、保育園、幼稚園が通常通り運営されていることや、臨時休校となった場合、保護者の仕事の関係で子どもだけで過ごす状況が発生することなどを考慮したと説明。また通常授業が実施されれば、安全に配慮した形で子ども達へ給食を提供することができる、と食事面も配慮しての判断だという。

   古口達也町長は公式サイト内「町長の日記」内で、「休校実施の場合には、ほとんどの子どもたちが学童保育を希望することが予測される。それならば、学校を通常通りとしても同じではないか」とも述べている。

   20年3月5日放送の「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)で、教育評論家の尾木直樹氏は、同町の判断について「英断だと思います」と評価。学童保育所で子どもが密集して過ごすより、学校の教室で感染防止策をとったうえで見てあげた方が良いと話した。

   文部科学省の「新型コロナウイルス感染症対策のための 小・中・高等学校等における臨時休業の状況について」の報告書によると、20年3月4日時点で臨時休業の実施を見送っている小・中学校は、20市町村で316校、高校と特別支援学校は2県・83校ある。

   新型コロナウイルスの感染が拡大する状況で、もし授業が再開になったら――。中学2年生の女子生徒の母は、「嬉しいし助かる。ただ、いつどこで感染するかわからない状況。4月末に予定していた東京方面への修学旅行は、時期も場所も変わると言われた。そういう状態で再開するのは、心配もあるし正直、複雑」と話した。

「すぐには登校させない」「再開になったらありがたい」

   小学4年生と1年生の男子児童の母は、「授業再開になったら、ありがたいです。とても、うれしいです」と喜ぶ。「元気な子どもを外にも出さず家に置いておくのは、お互いかなりのストレスになります。子どもの生活リズムも崩れるし、テレビ、ゲームしかすることがないです」。

   これに対して中学2年生の男子生徒の父は、「もし通常通り登校になったら、まずは子どもの意見を聞きます。行きたいか、行きたくないか、不安か、など」と言う。ただ「行きたいと言っても、すぐに登校はさせないと思います。緊急事態宣言を検討しているくらいなのだから、現時点で『登校しなさい』というのは不安定で無責任では、と思うからです」とした。

   現在休校に伴い自宅学習をしている中2男子は「今は毎日家にいて、結構ストレスを感じる。学校から課題は出ているけど、家にいるとあまり集中できずやる気も出ない。学校が再開したら、面倒だなと思いつつ嬉しい」と話し、授業再開を望んでいると明かした。

   教育現場で働く人はどうか。ある小学校の校長は取材に、休校で子どもたちが学校で学習する時間を持てないことがかわいそうだ、と話す。しかし現状を踏まえると「仕方ない」とも。現在の新型コロナウイルスの感染状況を考慮すると、教育現場から見て「(授業再開は)まあ無理だろう」と答えた。

   一方、もし学校の授業を再開するのなら、自治体が再開に値するだけの根拠と対応策を学校側に提示してほしいと望んだ。

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