感動や強調、驚きなどを表す「!」と、クエスチョンマークとも呼ばれ、疑問を示すために使う「?」。それぞれ感嘆符、疑問符と呼ばれる「約物」だ。それらが組み合わされた、驚きと疑問を同時に表す意味合いの記号「!?」を、テレビや記事、ポスター、広告をはじめさまざまな表現媒体で目にする機会がある。
一方で疑問符が先に来る「?!」が「!?」の代わりに使われることもある。いったいどちらが正しい並び順なのか、そもそも正しい並びはあるのか。文章のプロに尋ねてみた。
びっくりした後で「まてよ」
コラムニストで元朝日新聞「天声人語」筆者の冨永格氏は、そもそも「一般に新聞記事では、第三者の文章を引用するとき以外は『!』『?』はめったに使いません。これは、筆者の自由度がわりと高いコラムも同じことです」と話す。そのうえで、
「字面のバランスというか安定感では『!?』の一択かと考えます。事の順序としても、びっくりした後で『まてよ』と我に返るのが普通じゃないでしょうか。よほどくだけた文章は別として、私が目にする『!?』のほとんどは夕刊紙か週刊誌の見出し。いまパラパラとめくった週刊現代の最新号にも『ゴーンが消えた!?』なんてのがありました。読売や朝日が使い始めれば、当然『一般紙も「!?」解禁か!?』ということになるでしょう」
このように、使うのならば「!?」だろうと考えを明かした。
講談社「週刊少年マガジン」編集部の記者にもメール取材した。同社の社内ルールには「!?」「?!」に関する記載はなかったようだが、少なくとも「週刊少年マガジン」「別冊少年マガジン」では「!?」を使用しているという。「理由も調べてみたのですが、不明です。個人的には、『!?』の方が収まりがいいからだと思っています」と見解を示した。
白夜書房、子育てサイト「Conobie(コノビー)」、芸能人ファンクラブ会報誌などで書いているフリーライターにも同じ質問を投げかけてみた。「どの媒体でも『!?』を使っており、『?!』に正されたこともないので、『!?』が一般的ではないか」と語る。またデザイナーとしても活動していることから、「デザインをした時に『!?』の方がレイアウトが組みやすい」と改めて「!?」を推していた。