「接客業ではマスクを着けてはいけない」―――。表情が見えない、話が聞きづらい、体調が悪そうに見えるなどの理由からか、従業員のマスク着用を禁じてきた企業は一定数あるようだ。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、接客業の対応にも「変化」が現れている。
居酒屋店員やタクシー乗務員が着用
保険相談サービス「ほけんROOM」を運営するWizleap(本社:東京)が調査し、2020年1月30日に発表した「接客業とマスク着用に関する意識調査」。
接客業経験者に、マスクの着用が禁止されていたかを聞いた設問で、「禁止されていたことはある」「暗黙のルールで禁止だった」と答えた割合が全体の約3割を占めた。具体的な職業にはスーパーマーケットのレジ打ち、居酒屋店員、ゲームセンター店員などが挙がった。
この風潮に、変化が出てきた。新型コロナウイルスによる肺炎流行の影響だ。日本国内でも感染例が報告され、今後の感染拡大が懸念される中で「マスク解禁」に動き出す接客業者が増えつつある。
全国約400店舗を展開する居酒屋チェーン「つぼ八」(本社:東京)は、20年1月27日に公式サイトで、一部店舗で従業員がマスクを着用して営業する旨のお知らせを掲載した。
同社の広報担当者に取材すると、「従業員の不安を取り除き、ご来店されるお客様にも安心して過ごしていただけるように、各店舗判断で従業員のマスク着用を認めることにしました」と理由を説明。平常時のマニュアルではマスク着用に関するルールは明文化されていないが、過去にもインフルエンザ流行時に「着用」の対策を取っていたという。今回、利用客から寄せられた意見はすべて好意的なものだと話した。
乗務員が客と間近で接するタクシー業界では、日本交通(本社:東京)や日の丸交通(同)が、原則として乗務員がマスクを着用して接客すると公式サイトで発表している。