新型コロナウイルスによる感染者が日本でも相次いで確認され、2020年1月28日には中国湖北省武漢市への渡航歴のない日本人男性の感染も判明した。日本でも一層拡大する懸念があるが、既に5000人以上の患者が出ており、「感染力が強まっている」と政府が発表した中国では、どのようなことが明らかになっているのか。
中国で新型肺炎対策を指揮する国家衛生健康委員会と国家中医薬管理局が27日に公表した医療機関向けのガイドライン「新型コロナウイルスによる肺炎の診療プラン(第4バージョン)」には、ウイルスを知るヒントが盛り込まれている。
肺炎に至らないまま治る感染者の報告あり
ガイドラインによると、潜伏期間は一般的に3~7日。最長で14日間という。潜伏期間でも感染する恐れがあるため、中国では、感染者と接触した人は14日間隔離・観察の対象となる。
初期症状は発熱、倦怠感、咳など。ただし、特段の自覚症状がなく、肺炎に至らないまま一週間程度で治癒する感染者も報告されている。
国家衛生健康委員会の専門家委員会メンバーで、武漢に赴いて患者や医療スタッフの調査を実施した李蘭娟氏は、中国国営テレビに対し、「普通の風邪やインフルエンザと初期症状は極めて似ているため、検査キットでウイルスの有無を調べる以外に、はっきり区別できる方法はない」と語った。
ワクチンの研究開発は始まっている。李氏は28日、国内メディアに対し「ワクチン株を選定するのにあと1か月、検査などで半月、その後、承認までに少なくとも1か月半かかることを考えると、早くて3か月後にワクチンができる」と述べた。
大半は高齢者か基礎疾患がある人だが乳児の感染も
また、中国では発症後に入院せず快復した人がいると報道された。だが、李氏は「たしかにいるにはいるが、その人は医師だった。つまり自分で体調を観察し、適切に対処できた。肺炎は重症化が速いので、普通の人は早い段階で病院に行ってほしい」と強調した。
現段階で死者は100人を超えており、大半が高齢者か基礎疾患がある人だ。ただし、感染者の年齢は幅広く、乳児の感染も確認されている。政府系機関である中国疾病予防コントロールセンターの馮子健副主任は27日、国営テレビに対し、「これまでの感染者のデータを見る限り、幼児から高齢者までまんべんなくかかっている」と説明する一方、子どもの症状は総じて成人より軽く、今のところ子どもで重体に至ったケースはない」とも述べた。
(ライター・浦上早苗)