日本にも通じる「そこはかとなさ」 フィンランドのパルムグレン作曲「粉雪」  

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途絶えることなく粉雪が舞う世界を表現

   「粉雪」を含む「3つのピアノ曲」は1916年、つまり彼が北欧に戻ってからの作品です。欧州は第一次世界大戦の戦乱の中にありましたが、まだロシア帝国の支配が続いていた独立前のフィンランドでは、職業軍人以外は戦闘に巻き込まれることがありませんでした。

   「粉雪」はまさにひたすら降り続ける雪のごとく、右手に現れた音形が繰り返し繰り返し演奏されます。そこに左手が透明感のある和音を加えていき、深い低音の和音を奏でた後、右手のメロディーは、同じ音形のまま、少しずつ変化していきます。最後まで、この「雪が降るモチーフ」は途絶えることなく、粉雪が舞う世界を表現します。どこか悲しげなのは、戦争のせいか、まだ独立前のフィンランドの嘆きか・・・わかりませんが、日本の我々が冬の雪に感じるような「そこはかとなくセンチメンタルな詩情」が感じられ、わかりやすく素敵な曲となっています。4分に満たない小曲ですが、雪の時期に聴きたい、可愛らしい曲です。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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