琉球王国の交易は「日明貿易」よりダイナミックだった

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繁栄の時代を象徴した首里城

   自分が教科書で習った足利義満の日明貿易より、遥かに大規模かつ継続的に交易が国営事業として行われ、おそらく莫大な利益を生んでいたはずである。この国営事業の司令塔であり、華やかなりし繁栄の時代を象徴するのが、首里城である。この首里城に掲げられていたという梵鐘が紹介されている。「万国津梁(しんりょう)の鐘」。この鐘には「琉球国は南海の勝地にして、三韓の秀を集め、大明を以て補車となし、日域を以て唇歯となす。此の二の中間に在りて、湧出する蓬莱島なり。舟楫を以て万国の津梁となし、異産・至宝は十方刹に充満せり」と記されている。

   恥ずかしながら、琉球史はほとんど無知であった。日本史上も、室町時代から戦国時代にかけての国際関係は、倭寇を含め、不明な点や過小評価している面も多く、また、琉球国の存在も大きい。これを契機に、アジア史の中で、日本そして琉球が果たしてきた役割に関心をもっていきたいと思わせる一冊である。現在の沖縄県を巡る諸課題にも新たな視点を提供してくれるとも思う。

経済官庁 吉右衛門

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