被災地でのボランティアは力作業だけではない
台風19号は、2019年10月12日に静岡県に上陸する前から、主に東日本に大雨をもたらした。長野県や福島県、宮城県をはじめ各地で河川の氾濫や深刻な水害が発生。首都圏を含め、被害は広範囲に及んだ。PBVは現在まで、福島県いわき市で支援活動を続けている。発災直後、いわき市は報道が少なく、被災地として認知されていなかったのかボランティアが全く来ていなかったとのことだ。市内では現在も避難所が1か所開設されており、PBVによると60人ほどが避難生活を送る。
いわき市は、東日本大震災の被災者が大勢避難してきた土地だ。だが水害経験は少なかった。約7000棟の建物が被災、河川の決壊で大量の土砂が街中に堆積した。浄水場の浸水により広域で断水が長期化し、住民の生活は苦境に陥った。
長尾修道さんは、19年11月と12月の2度、現地でボランティアを行った。具体的には水に浸かった家屋の壁や床をはがす作業や、家財道具の運び出し、清掃だ。街の中心部から離れた地域や高齢者が住む家のなかには「まだ手付かずのところがあると感じました」。一方で、作業の後で家人から昼食を準備してもらい「逆に元気をもらいました」と振り返る。
被災地でのボランティアは、力作業だけではない。小村友貴さんは以前、「力仕事ができないので、邪魔になるのではないか」と迷った。周りに相談するなかで「被災した人と話すだけでも助けになる」とアドバイスされ、19年12月末に初めてPBVの活動に参加した。
小村さんの活動のひとつが、避難所の環境改善だ。長引く避難所生活を少しでも快適にする目的で、日常生活の手助けにとどまらず、住人と一緒に楽しめる工夫もしている。その一つがイベントの実施だ。クリスマス会を開いたとき、「ビンゴ大会での景品を選ぶとき、皆さんは高価なものよりも上着やゴザといった、防寒グッズを求めていたのが印象的でした」と語った。また多くの被災者に寄り添い、災害発生時の様子をはじめいろいろな話に耳を傾け、「自分でもできることがあると実感しました」。
PBVでは今年3月22日までボランティアの募集を続けている。(J-CASTトレンド編集部 荻 仁)