被災地に行く、支援はそこから始まる 台風15・19号のボランティア報告

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   阪神・淡路大震災から今年で25年。3月には、東日本大震災から9年となる。近年、日本では地震だけでなく、豪雨や台風が毎年大きな被害をもたらしている。

   昨年9~10月、2つの大型台風が日本列島に大きな爪跡を残した。2020年を迎えても、被災地ではいまだに厳しい生活を強いられている人がいる。各地で支援活動を続けてきたピースボート災害支援センター(PBV)は2020年1月13日、「中間報告会」として現地で活動したボランティアの作業内容を発表した。

  • PBV「中間報告会」の様子
    PBV「中間報告会」の様子
  • PBV「中間報告会」の様子
    PBV「中間報告会」の様子
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高齢の被災者「家をどうしたらいいのか分からない」

   台風15号は2019年9月9日早朝、千葉県に上陸した。PBVは翌10日、大雨と強風の被害が大きかった同県館山市、南房総市に入り状況を調査、白浜町では飲料水を配布した。この時点で、これら被災地のマスコミ報道はほとんど見かけなかったという。9月24日からは被災家屋のブルーシート張りを開始した。

   特に力を入れて支援した地域が、高齢の住人が多い鋸南町だ。台風15号では、多くの家屋が損壊した。「屋根職人」としての経験があり、ボランティアとして屋根の修繕を手掛けてきた上野祥法さんは、約70棟の補修を行った。その中で地元住民は、「家をどうしたらいいか分からない人が多かった」と指摘する。独居で高齢、壊れた屋根の修理費用は数百万円かかる。だが家族は離れており家を継ぐ人がいない。直したところで将来、誰が住むのか。だが何もしなければ自分の暮らしが危うくなる――。こうした事情が、被災者を困らせていた。

   屋根の修復を請け負う業者の不足も問題だ。工事を依頼すれば5~6年待たねばならず、ボランティアに頼るしかない。中には、雨漏りがする壊れた家に住むしかない人もいたという。

   2016年4月の熊本地震や、18年の大阪北部地震以降、屋根の修理には主にブルーシートが使われてきた。しかし、時間の経過とともに劣化や破損が進む。PBVでは、より耐久性のある「シルバーシート」やポリカーボネートの「波板」と呼ばれる建材を使っている。一方で上野さんは、屋根修繕のボランティア育成のため、希望者を受け入れ指導すると話した。

「今後、風水害は増えていくでしょう。各地に、屋根修理の知識や技術を持った人が一人でもいれば、そこで『自分もやりたい』という人を集められる。そういう地域は強くなると思うのです」

   災害が発生したとき、自分の大切な人が住む街のためにすぐに行動に移せるか。その一歩が、被災した人に大きな勇気になると、上野さんは訴えた。

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