バレー男子「勝つ姿」見せる時 清水邦広は北京の借りを東京で返す【特集・目指せ!東京2020】

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「ニッポン、チャチャチャ」が好プレーにつながる

――東京五輪で初めて男子バレーボールを見る人もいると思います。ファンに、日本や清水選手のどういったプレーを見てほしいですか。

清水 今の日本には、世界にひけをとらないサーブ力があります。個人のサーブによる得点だけでなく、チームの作戦としてサーブで相手陣形を崩すこともできます。日本人選手は身長が低いのでブロック力は劣ったとしても、それを補うのがサーブとレシーブです。サーブで崩して、ディフェンスで(ボールを)取って、コンビネーションでスパイクを決められたら日本のリズムになります。
僕のプレーは......以前は高いジャンプからのフルスイングのスパイクがメインでしたが、怪我をしたこともあって、ジャンプ力が元には戻りません。ですが、その分、得点をとるバリエーションが増えたと思います。たとえば、ブロックアウトをとったり、コースを抜いたり。相手の嫌がるプレーが出来るようになりました。

――清水選手の思う、バレーボールの魅力とは何でしょうか。

清水 試合中に、ファインプレーが起きそうな空気感が生まれる時があります。たとえば、とれないであろうボールが繋がり、打てないであろうボールを打ちにいって決まる。そういったワンプレー、ファインプレーの連鎖があると、「これは繋げないと」という思いが生まれ、最後に得点となる。そういった「流れ」は醍醐味だと思います。 逆に、相手の「流れ」になりそうだなと感じる時もあります。その時は、チームでコミュニケーションをとって、守りにいくこともあれば、受け身に回らずに攻めに出ることもあります。

――嫌な「流れ」になった時の、観客からの「ニッポン、チャチャチャ」は後押しになりますか。

清水 なります。今回のワールドカップ(2019年10月開催)もそうですけど、そういった応援のおかげで、良いプレーの連続があったと思います。応援を受けて、頑張っていた選手の状態がさらに上がることで、今まで繋がらなかったボールや決めきれなかったボールが決まったりするのです。
東京五輪は自国開催ですので、ファンの皆様と一緒に戦っていきたいですね。

清水邦広(しみず・くにひろ)
1986年8月11日生まれ。福井県福井市出身。ポジションはオポジット。
2007年、東海大学在学中の20歳で日本代表に選出。2008年、北京五輪世界最終予選を経て、福澤達哉とともに最年少の21歳で北京五輪に出場。
2009年4月、パナソニックパンサーズに入団。11月に開催されたワールドグランドチャンピオンズカップでは全日本男子32年ぶりの国際大会の銅メダル獲得に貢献し、ベストスコアラー賞を受賞。V・プレミアリーグではパナソニックの2年ぶりの優勝で、最高殊勲選手賞、スパイク賞、ベスト6に輝いた。
2013/14V・プレミアリーグにおいて、パナソニックの2年ぶり優勝に大きく貢献し、自らも二度目となるMVPとベスト6、スパイク賞を受賞した。
2018年、右前十字靱帯損傷するも2019年に見事復活を果たした。

文:石井紘人(いしい・はやと)
ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。
著作に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)、プロデュース作品に久保竜彦が出演した『弾丸シュートを蹴る方法』(JVD)がある。
『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「静寂から熱狂そしてリスペクト」などを寄稿。
株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作した『審判』の版元でもある。

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