7つの分野で方針転換を
公益資本主義とは、事業を通じて公益に貢献すること。公益とは、株主、顧客はもとより、地球、環境、地域社会、従業員、そして経営者。それら全体の利益を長期に最大化する経営が、結果として企業が持続的な経済成長に貢献する存在にするという。
公益資本主義が重視する要素は3つある。第一は、持続的成長を支える中長期の投資。第二は、豊かな中間層を生み出す公平な利益分配。第三は、果敢に新しい事業に挑戦するとともに、既存事業を不断に改良・改善すること。そうした方針に沿うよう、税制、会計基準、企業統治と法令順守、企業価値評価基準、規制緩和、金融証券制度、会社法の7つの分野で方針転換を図るべきだと著者は主張する。5年間以上保有した株式の売却利益の税率を5%、10年以上はゼロに引き下げ、株主の長期保有を促すのがその一例だ。