実物と映像をシンクロさせる「プロジェクションマッピング」や、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)など、映像技術の進化が目覚ましい。これらはビジネスに留まらず、体験型施設、ゲームといった様々な業界・分野で活用され、2020年の東京五輪においても欠かせない。
一大イベントに後押しされ、映像業界のさらなる発展が期待される今年、注目のクリエーターは誰か。人気テレビアニメ「ポプテピピック」の中に登場するゲーム風映像などの制作に携わった実力派の映像作家・手描きドットアニメーターの山下諒さんに予想してもらった。(聞き手はJ-CASTトレンド編集部・藤原綾香)
呆気にとられ、でもクセになる作品
――ズバリ、山下さんが注目する映像作家を教えてください。
山下 アニメーション作家の「しょーた」さんです。次代を担う気鋭の映像クリエーター100人を選出するプロジェクト「映像作家100人」に選ばれています。2018年に発表した映像作品「がんばれ!よんぺーくん」が数々の映像祭やコンペティションで賞を獲得し、19年はメディア露出を図ってブレイクするための「種まき」をした1年になったと思うので、20年は広く一般に名前が知られる年になるのではと予測しています。
――しょーたさんの作品にみる特徴とは。
山下 「狂気じみた明るさ」でしょうか。「がんばれ!よんぺーくん」は、主人公の少年・よんぺーくんが、母親からカレーに使う具材の買い出しを頼まれることから始まるドタバタ劇を、イラストと音楽で表現しています。家を出たよんぺーくんが突然車にひかれ、そこから物語が一秒ごとに目まぐるしく展開していくのですが...見終わった後で多くの人が「今のは一体何だったんだ」と呆気に取られると思います(笑)。でもそれが不思議とクセになって何度も見てしまうんです。小難しい設定もないので、頭をからっぽにして楽しめるのも魅力ですね。
――イラストがまた独特なタッチですね。
山下 一見、絵本のようなイラストなので、子ども向けの話かと思いきや、幼少期に見るとトラウマになりそうな内容です。全力ではっちゃけているのに、やや毒があるんですよね。誰が見ても「これはあの映像作家が作った作品だ」とわかるだけの世界観を確立していると感じます。うらやましいです(笑)。