1ピクセル単位で描かれ、懐かしい家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」などで用いられていた「ドット絵」。現代では「レトロ感」の代名詞としてアクセサリーや雑貨に施されるデザインの一種になっている。
一見シンプルな作りだが、誰でも描けるのか。記者は2019年12月11日、映像作家・手描きドットアニメーターの山下諒さんに講師役を依頼し、ドット絵づくりに挑戦した。
ファミコンらしいドット絵は「色」が決め手
山下さんはこれまでに、人気テレビアニメ「ポプテピピック」の中に登場するゲーム風映像や、小林幸子さんが今年11月にセルフカバーした「ポケットにファンタジー」のミュージックビデオ制作に携わってきた。ドット絵のクオリティーの高さに定評がある人物だ。絵心がない記者でもドット絵は作れるかと尋ねると山下さんは「大丈夫ですよ」と優しく頷いて、こう続けた。
「ドット絵作りの難しさは二次関数のようだと思います。昔懐かしいギャルゲーム(男性主人公の立場で魅力的な女性キャラと絆を深めていくゲーム)で用いられていたような、ピクセル数の多いドット絵になると難易度が急激に上がりますが、単にキャラが歩いているアニメーションを作るだけなら意外と簡単。イラストだと6~8枚くらい書かないといけないので、作画する方がはるかに難しいです。ドット絵なら2枚で表現できますよ」
今回は、山下さんが普段ドット絵を描く際に使用している画像編集ソフト「Adobe Photoshop」で16×16ピクセルのキャラクターを作る。予め用意されていた顔や体のベースデータに、約50色の候補(写真2)から好きな色を選んで、マウスでクリックして配置すればいいだけだ。ただ、より「ファミコンらしいドット絵」にしたいなら、使う色の数に制限をかけるのがポイントだという。
「ファミコン時代のドット絵は、1キャラに使える色が4種類に限られていました。うち1つは背景色になるので、キャラ自体の配色に用いられるのは実質3種類です。この点を意識して作ると、ぐっとレトロ感が出ます」
アドバイス通り、記者は(1)肌、(2)トップス、 (3)目、髪、スカート、靴でそれぞれ色分けし、3色に収めた。5分ほどで完成した作品を前に喜んでいると山下さんが「では、このキャラを歩かせてみましょう」とにっこり。新たにもう1つ、足と靴のデータ(写真5)と記者が作った立ち絵を組み合わせ、ものの1分でキャラが歩くアニメーションを作ってくれた。
最後に、山下さんがドット絵作りを学び始めた時に手本にしたウェブサイトを聞いた。これから挑戦しようと考えている人には、参考になりそうだ。
・アットウィキ(ロックマン8 メタルヒーローズを8bitリメイクしよう)