重い荷物も楽に運べるキャリーケース。駅や空港などでエスカレーターに乗せる時、自分の立ち位置から見てどこに置くのが「正しい」のか。
記者は2019年11月17日、出張で訪れた地域の駅の上りエスカレーターで自分の前の段にキャリーケースを置いたところ、その前に乗っていた男性から「なんでキャリーケースを自分の前に乗せてんだよ!」と怒鳴られた。男性は自分の後ろの段にキャリーケースを乗せていたため、記者がエスカレーターに乗った弾みで荷物同士がぶつかりそうになったことにいら立ったようだ。
「バッグを先に乗せる、降ろす」という意見もあれば...
記者は万が一転がった場合に、自分に当たって転落を止められるからという考えで、上りエスカレーターでは前に、下りエスカレーターでは後ろにキャリーケースを乗せている。今回の一件で使用上のマナーが改めて気になり、調べることにした。
老舗旅行鞄専門メーカーのサンコー鞄(愛知県長久手市)のウェブサイトには「エスカレーターに乗るとき、降りるときは、バッグを先に乗せる、降ろすような感覚で扱うと、後ろの人に迷惑がかからない」と説明がある。理由はこうだ。
「自分が乗ってからバッグを乗せると、あなたの次にステップ(段)に乗ろうとしていた人は予想外に出現したあなたのバッグにつまずいてしまいます。自信がない、どうしてもできないという人は、エレベーターを使いましょう」
また、上りエスカレーターと下りエスカレーターとで、乗せる位置を変えることが望ましいとする企業・団体もある。旅行用品などの製造・販売を行うティーアンドエス(埼玉県越谷市)は「エスカレーターに乗る場合は、上りは自分の前に、下りは自分の後ろにスーツケースを乗せ、万が一に備え、落下しないように手を離さないようにしましょう」とウェブサイトで推奨。羽田空港も2017年に公表した「エスカレーターのご利用に関するお願い」の中で、中型のスーツケース利用者向けにこう呼びかけている。
「上りエスカレーターではご自身の前のステップに、下りエスカレーターではご自身の横または後方にお手荷物を置いてください。また、絶対にお手荷物から手を放さないよう、お願い致します」