サッカーの「名伯楽」坂本康博監督 東京五輪で活躍する選手ズバリ【特集・目指せ!東京2020】

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五輪は一流選手の予備動作を見よ

――では、坂本先生から見た世界の舞台で活躍できる日本人選手の特長、共通点を教えてください。

坂本 判断力です。知識を知恵として使うことができて、向上心も強い。そういった向上心から生まれるやりたいことを助けてくれる仲間がいるというのも大切です。圭佑は、その最たる例ではないでしょうか?

――確かにそうですね。では、これから五輪を目指すサッカー少年・少女に向けて、「東京五輪では選手のプレーのココに注目しよう」という点があったら、教えてください。

坂本 一流選手は難しいプレーを簡単にやります。そのプレーをするまでの前のプレー、予備動作を見るのが大切です。ただ、これは誰かが解説してくれないと気付かないかもしれません。たとえば、シュート。テレビ解説では「シュートが外れました」「相手が寄せてきましたからね」で終わりますが、実際には、ボールを貰うまでの予備動作、さらにシュートのフォームを見る必要があります。
そういった世界のプレーを自分の目で凝視できるというのは、私が指導者になったばかりの時には考えられませんでした。昔は、一流のプレーを見るためには、ワールドカップを見るために、渡航しなければいけませんでしたから。
だからこそ、今の選手やコーチには、一流のプレーを見て欲しい。
また指導者には、サッカーだけでなく、怪我のケア、生活に関わる面や社会的な知恵を与えてほしい。サッカー馬鹿というのは褒め言葉ではありません。たとえば、なんで怪我をするのか。それを分かっていれば、選手たちの怪我の予防をする指導だってできるわけです。

――最後に、日本代表は東京五輪でどこまで勝ち進めるでしょうか?

坂本 地元開催となると時差はないですし、気候も理解できているので、順応しやすいはずです。インフラも、練習会場の選定から情報のシャットアウトまでできます。今までの五輪よりも、様々なストレスを排除できると思うので、最低でもベスト8、さらに4ぐらいには入って欲しいと思います。

坂本康博(さかもと・やすひろ)
大阪体育大学名誉教授、関西国際大学サッカー部総監督。
1973年から大阪体育大学サッカー部を指導し、全日本大学選手権で優勝2回をはじめ、総理大臣杯優勝3回、関西選手権優勝8回など国内の大会で多くの優勝を重ねる。全日本選手権(天皇杯)には15回出場。同大学では1990年から女子サッカー部も率い、全日本大学選手権で3回優勝している。サッカーワールドカップは、1978年のアルゼンチン大会から2006年のドイツ大会まで毎回視察を続けた。
2017年12月からは関西国際大学サッカー部総監督、18年4月に関西国際大学人間心理学部教授。
元日本代表選手の松井清隆や西村、藤春や長きに渡りJリーグで活躍した江角浩司らJリーガーはもちろん、なでしこジャパン元監督の大橋浩司など600人を超える教員を含めた指導者を育ててきた。

文:石井紘人(いしい・はやと)
ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。
著作に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)、プロデュース作品に久保竜彦が出演した『弾丸シュートを蹴る方法』(JVD)がある。
『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「静寂から熱狂そしてリスペクト」などを寄稿。
株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作した『審判』の版元でもある。

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