坂本康博氏ほど長きに渡りサッカー界の「現場」に居続ける指導者はいないだろう。大阪体育大学(大体大)では44年間に渡って指導を続け、勇退後は関西国際大学に舞台を変えて、総監督として現場に立ち続ける。
教え子には、西村昭宏・元日本サッカー協会育成担当技術委員長(現:高知ユナイテッドSCゼネラルマネージャー)などクラブのトップもいれば、現在サガン鳥栖の強化指定選手として活躍している林大地のような新人選手もいる。つまり、サッカー界の第一線で、61歳から22歳の教え子たちが活躍しているのだ。その坂本氏に、東京五輪を展望してもらった。(インタビュアー:石井紘人 @ targma_fbrj)
本田圭佑よりもインパクトある教え子は
――東京五輪世代で、坂本先生が注目している日本の男子選手はいますか?
坂本 教え子の田中駿汰(大体大:コンサドーレ札幌内定)は選ばれれば面白いと思います。駿汰は波がないし、空中戦のテクニックもあるので、ヘディングも強いですよ。
――では、坂本先生が東京五輪の日本代表監督でしたら、オーバーエイジでどの選手を招集しますか?
坂本 老生の孫弟子たちにフォーカスするわがままを許していただき、使うとすれば、中盤の選手になるでしょうね。チームを落ち着かせたいので、(柴崎)岳(デポルティーボ・ラ・コルーニャ)とかを選ぶと思います(柴崎の出身校である青森山田高校の黒田剛監督は、坂本氏の教え子)。岳は国際経験も豊富でサッカーセンスもあるし、本当に周りが見えている選手ですからね。オーバーエイジはセンターラインの強化で使うのが効果的だと思うので、(昌子)源(トゥールーズFC)も面白いと思います。
――先生の教え子には、リオ五輪に出場した藤春廣輝選手(ガンバ大阪)がいます。さらに、教え子である星稜高校の河崎護総監督の教え子に北京五輪に出場した本田圭佑選手(フィテッセ)もいます。数珠繋ぎで教え子が五輪に出場しているわけですが、最もインパクトのある教え子、もしくは教え子の教え子は誰ですか?
坂本 圭佑よりも、源ですね。源は両親がどちらも大体大の教え子ですし、さらに通っていた米子北高校の城市徳之総監督も教え子です。それもあり、源の進路が決まっていなかった時に「ぜひ、大体大に」という話がありました。私も源のプレーを見て、大体大に来てほしいと思いましたが、あんなに冷静にディフェンスができると思いませんでした。伸びしろといった意味で、圭佑よりもインパクトがあります。