将来世代に配慮する動機を考える

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将来世代に配慮する動機を与える4つ

   本書でシェフラーは、将来世代に配慮する理由として、interest、love、valuation、reciprocityの4つを挙げている。これらはいずれも我々現世代に将来世代に配慮する動機を与えることに特徴がある。

   Interestとは、我々が関わっている事業が個人の寿命を超えた長期の目標を持ち、自分の死後のなり行きに我々がinterestを持っていることである。Loveとは、我々が善をなすことを好み、善を生みだす活動が継続することを望むというものである。我々は芸術活動を通じて人類の可能性の境界を広げているとみることができ、我々の活動が死後に引き継がれ、人類の可能性を開拓するのに役立つことを望む。Valuationとは、我々が価値あるものが保存されることを望み、破壊されることを悲しむというものである。最後のreciprocityとは我々現世代にとって人類が存続することが重要であり、そのことはとりも直さず将来世代が生存すること意味する。その意味で、現世代と将来世代の間にはreciprocityが存在し、現世代は将来世代に配慮する動機を持つという議論である。

   将来世代への責務を議論する際、仮になにかの責務の存在を認めるとしても、その実施において格段の困難が存在するとの指摘は案外深刻なものである。本書のように、動機に焦点をあて、世代間問題を考察する試みは、その重要なギャップを埋めるものとして興味深いものである。

   前著に比べると、本書は伝統的な哲学上の議論を参照しつつ論を進めている。そのぶん多少難易度が上がるが、引き続き読みやすい英文で書かれており、興味を持たれた読者には一読をおすすめしたい。

経済官庁 Repugnant Conclusion

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