袋ならではの作った感
吉田さんが冒頭で触れたラーメンの「5袋パック」は、乾麺の代表的な売り方で「〇〇の××味」を5個まとめたもの。私もしばしば買うが、300円台後半が多いだろうか。
即席ラーメン業界は、パイオニアの日清食品をはじめ、マルちゃんの東洋水産、サッポロ一番のサンヨー食品、チャルメラの明星食品などがしのぎを削る。ほとんどの袋麺は作るのに鍋での加熱が必要で、このひと手間がカップ麺に対する劣位(面倒)でもあり、優位(調理感)でもある。
この作品のハイライトは、言うまでもなく最後の8文字...「鍋から直接食べた」だろう。かつての「自炊時代」もそういう食べ方をしていたのか、と思わせる迫力。これこれ、これが食べたいんだよ俺は、という執念を感じさせる描写だ。
そして、袋麺ならではの「作ったぞ感」が、吉田さんのノスタルジーを荒々しいまでに倍加させたことは想像に難くない。
冨永 格