グループウエアなどのソフト開発を手掛ける一方、自由な働き方を進めていることで知られるサイボウズ(東京都中央区)は2019年11月7日、幕張メッセでの総合イベントで、「米国市場へのチャレンジと市場動向レポート」と題したセミナーをメディア向けに開いた。
2014年から本格参入している米国で挑戦する意義や難しさ、そして可能性を、サイボウズ副社長で米国法人「Kintone Corporation」社長の山田理氏と、デイブ・ランダ米法人CEO(最高経営責任者)が語った。
企業理念で差別化
「チームワークあふれる社会や世界をつくる」という企業理念を持つサイボウズは、元々「グローバル展開」を視野に入れていた。世界最大のIT市場・米国で成功すればグローバルに通用するはずと、山田氏は立ち上げ時に一人で渡米。サンフランシスコに本社を構え、ランダ氏と二人三脚の形で基盤を広げてきた。いま45人に増えた社員は、西海岸をはじめニューヨーク、シカゴなど全米で、だれでも簡単に業務アプリを作成できるクラウドサービスのKintoneを販売している。導入企業は約340社に。在米日系企業のほか、シリコンバレーに本社を置く巨大IT企業などへの売り込みにも成功した。
「米国の超大手の会社が積極的に使ってくれることで、プロダクトの可能性を信じることができている」と山田氏は語る。ただKintoneのような、ソフト開発を高速化するITツール市場はいま年率50%近い勢いで急拡大中。グーグル、アップルなど大手を含めて約100社が競い合う状況は率直に言って大変だという。何十億円をかけてマーケティングをするライバルもいる。そんな相手との差別化にあたって大きく掲げるのが、やはり原点ともいえる企業理念に基づいた考え方だ。
「Kintoneは、いかに公明正大な会社にしていけるか、いかに一人一人の個性を尊重しながらチームワークを作れるかというコンセプトでできています。イベントや従業員採用の際にはそれを強調していますね」と山田氏。