生涯最大のヒット曲となった
スペインがイスラム教国になり、その後、レコンキスタによって再びキリスト教化されたときに、最後までイスラムの拠点となったのが南部アンダルシア地方の街グラナダで、世界遺産のアルハンブラ宮殿などで有名です。
ララの「グラナダ」は、現在でも欧州の他の都市とは一線を画すエキゾチズムに溢れたグラナダの街の魅力と、その地の混血の女性の美しさを高らかに歌い上げています。この曲はメキシコだけでなく、本国スペインでも大評判となり、当時のフランコ独裁政権からララはグラナダに壮麗な屋敷を下賜される、という栄誉に浴することにもなりました。オリジナルはオペラチックに歌い上げる「グラナダ」は、今も、世界中の人々に愛聴されています。
以前、悩める米国の作曲家コープランドが、メキシコを訪れてナイトクラブでのメキシコ音楽に感激して書いた名曲「エル・サロン・メヒコ」をご紹介しましたがララの場合は、「まだ見ぬ土地」へのあこがれのほうが、実際にその土地を訪れたときの感激の気持ちよりも、もしかしたら燃え上がりかたが激しかったのかもしれません。
現地スペインに行く前に書いた曲、「グラナダ」は結局、ララの生涯最大のヒット曲となり、世界を駆け巡ったのです。
本田聖嗣