ファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズの第1作「ハリー・ポッターと賢者の石」日本語翻訳版が発売されてから、20年が経つ。渋谷ヒカリエ ShinQs(東京都渋谷区)では、「『ハリー・ポッターと賢者の石』書籍出版20周年記念魔法ワールドフェアat Shibuya Hikarie ShinQs」を2019年10月31日~11月20日の期間に開催している。
会場では翻訳者の松岡佑子さんが、翻訳の際に何度も読みこんだ原書が展示されている。
「こんなにひどい状態の本はみたことがない」
原書が展示されているのは、2階エスカレーター前の特設スペース。松岡さんのコメント入りボードが、日本語版の「賢者の石」と並べてケースに入れられている。
色とりどりの大量の付箋がページの間から飛び出した、くたびれた雰囲気の本だ。表紙を開いた状態で置かれていて、左のページには手書きの文章が英語で書いてある。原作者のJ・K・ローリングさんが、松岡さんに宛てたものだ。松岡さんは、こう訳している。
「こんなにひどい状態の本は見たことがない。すてきだわ!」
松岡さんのコメントによると、このメッセージが書かれたのは1999年11月20日。日本語翻訳版が出版される直前で、日本のテレビ番組制作会社がローリングさんを取材するための橋渡しをしていたそうだ。
松岡さんが翻訳作業で何度も読み返してボロボロになった本を差し出すと、ローリングさんは歓声をあげてメッセージとサインを書いてくれたという。原作が書かれた英国エジンバラの「ニコルソンズ・ カフェ」での出来事だ。
記者が実際に展示に訪れた際、渋谷ヒカリエShinQsの広報担当者は、原書を見られるのは貴重な機会だと話した。