「ここまで絵柄が似てるなら、外伝じゃなくて続編描いちゃう?」
真島さんとタッグを組み、「FAIRY TAIL 100 YEARS QUEST」の作画をすることになった経緯について、上田さんは驚きのエピソードを語ってくれた。初めは続編でなく、FTの「外伝を描かないか」と提案を受けていたというのだ。
「話があったのは17年末頃です。まずはFTのキャラクターイラストを描いて見てもらおうと、原作に近付けて描きました。すると、チェックしてくれた真島先生が『これまで色々な漫画家さんに描いてもらったなかで、一番僕の絵に似てる!』と太鼓判を押してくれたのです。そうしたらいつの間にか『ここまで絵柄が似てるなら、外伝じゃなくて続編描いちゃう?』という話になり...(笑)」
ファンタジー作品の作画に携わるのが初めてだった上田さん。人気漫画の続編を担うのはさすがに荷が重く、頭を抱えた。そこで「ファンタジー作品に明るい原作者(漫画のストーリー担当)をつけてほしい」と要望したところ、いつの間にか真島さんがネーム原作担当として参画することが決まっていたのだ。「結局手を煩わせてしまった」と、それはそれで頭を抱えたそう。
実際の作品づくりは、真島さんが漫画のコマ割り、コマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置などを大まかに表した設計図である「ネーム」を上田さんに送り、そこに描かれている情報に基づいて上田さんやアシスタントがキャラクターや背景を描き起こす。ストーリー展開は基本的に真島さんが指揮を執っているが、「次はどうしたい?」、「どんなドラゴンを出したい?」と意見を求めてくれることも多いそう。
「毎回、教科書のようなネームが送られてきます。まさにわかりやすさの権化で、しかも面白い。ネームってこう書くんだ、と毎回学ばせてもらっています。プレッシャーもありますが、これからも全力で作品づくりに取り組んでいきたい。作家生命を懸けてでも物語を完結させる覚悟です」