「見に来てよかった」と思われる走りとジャンプを
――パラ陸上競技のどこに魅力を感じていますか。
高桑 体のどこかが欠けてしまった私たちが、陸上競技に何かを「融合」させて新しいジャンルのスポーツを生み出している点です。義足や車いすなどの道具を使う種目も、使わない種目もありますが、それぞれ普通のスポーツとは少し違った工夫をして、競技を成り立たせています。
――パラリンピックまであと1年弱、現在の目標を教えてください。
高桑 11月の世界選手権に向けてトレーニングしています。4位以上かつ日本人トップになれば、東京大会の内定をもらえます。記録では、走り幅跳びでは5メートル60台、100メートルでは13秒1台を出せれば最高ですね。
――2012年ロンドン大会、16年リオ大会を経験し、ご自身はどう変化してきたと思いますか。
高桑 これまでの大会は、それぞれテーマがありました。
ロンドン大会は「チャレンジャー精神」。初めてのパラリンピックで、「当たって砕けろ、何も怖くない」みたいな。ビギナーズラックで出られたと思っていました。リオ大会は、4年間しっかり準備して挑む大会でした。「"アスリート高桑早生"にとって初めてのパラリンピック」というテーマを持っていました。
20代をパラリンピックで駆け抜けてきました。2020年はその集大成にしたい。自国開催ですし、どんな景色が見られるのか、私自身も楽しみです。
――高桑選手にとって東京大会は20代最後のパラリンピックですね。どんな大会にしたいですか。
高桑 パラスポーツをもっと多くの人に知ってもらいたいし、最低でもロンドン大会で私が経験した感動を味わえる大会になってほしい。ただ、「パラスポーツを知ってください、会場に足を運んでください」と言うからには、観客が「すごいじゃない」と思うパフォーマンスを見せることが、選手の使命だと考えています。私が出場できたら、「見に来てよかった」と全員に思ってもらえる走りとジャンプをしたいです。
私個人としては、大会が終わった後も重要だと考えています。日本のパラスポーツ分野や福祉分野が大きく変わるきっかけになってほしい。今は誰もがパラ競技に挑戦できる環境が整っているとは言えないので、誰もが当たり前に競技を始められる社会になればと思います。