アニメとコラボで大躍進「こてっちゃん」【ツイッターは仕事!企業公式「中の人」集合(7)】

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   テレビCMで「甲子園の味」のフレーズで知られる、食品加工会社エスフーズ(兵庫県西宮市)の牛もつ加工品「こてっちゃん」。その公式ツイッターアカウントのタイムラインには「こてっちゃん」の調理画像や動画が多く並び、見ているだけで食欲をそそられる。

   プロフィールにあるアカウント開設日は2017年9月。初めはフォロワー数が伸び悩んだが、現在は約4万5000にまで増加した。今では「おはようございもつ」、「ニックリ」、「ええんやで」と親しみを持たれる独特の言い回しで、人気企業アカウントの1つになっている。運用開始当初の低迷期を脱した背景には、あるアニメの存在があった。

  • こてっちゃん(エスフーズ株式会社)公式ツイッター担当者
    こてっちゃん(エスフーズ株式会社)公式ツイッター担当者
  • 担当者お手製の「こてっちゃん」パネル
    担当者お手製の「こてっちゃん」パネル
  • テレビアニメ「アニマエール!」×「こてっちゃん」ツイッターコラボプレゼントのランチョンマット
    テレビアニメ「アニマエール!」×「こてっちゃん」ツイッターコラボプレゼントのランチョンマット
  • こてっちゃん(エスフーズ株式会社)公式ツイッター担当者
  • 担当者お手製の「こてっちゃん」パネル
  • テレビアニメ「アニマエール!」×「こてっちゃん」ツイッターコラボプレゼントのランチョンマット

「こてつ」と「虎徹」...ひらめいたツイートが転機に

こてっちゃん(エスフーズ株式会社)】「こてっちゃん」にまつわるさまざまな情報を発信するほか、もつを食べたツイッターユーザーの投稿を積極的にエゴサーチし、引用RT(リツイート)している。現担当者は18年6月より運用中。
※2020年2月時点で退職。現在は別の担当者が「中の人」を務めている(2020年2月1日追記)。

   担当者はマーケティング部マーケティング課の社員。「こてっちゃん」をはじめとした家庭用製品全般にまつわる資料作りや数値の管理・分析、アンケート・カタログなどの作成、イベント企画運営などが業務だ。「今後のブランド展開を考えた時、受け身になるのではなく、情報を自ら発信する場を持ち、時代に即してイメージを変えていく必要がある」と考え、運用を始めた。

   しかしツイッター経験がほぼなかったため、初めは「日々手探りで運用しながら学ぶ状態。スタートから半年ほどはひたすら我慢する時期」だった。当時のフォロワー数は2000弱で、なかなか増えないと悩んでいたが、あるツイートがきっかけとなり転機が訪れる。18年12月5日の投稿だ。卯花つかさ氏の4コマ漫画を原作とするテレビアニメ「アニマエール!」には「舘島虎徹(たてじまこてつ/ニックネーム:こてっちゃん)」というキャラクターが登場することから、

「ま、(同じ名前やから)多少はね?#あなたっぽいアニメキャラ #こてっちゃん」

   テレビアニメ「アニマエール!」公式アカウントのツイートを引用RTする形で、名前が似ているとアピールしたのだ。すると、それまでにない数の「いいね」や「RT」のほか、「アニマエール!」公式アカウントから「こてっちゃん公式さんにこてっちゃんを見つけて頂き感謝!!」と感謝メッセージが、卯花さんからは「『こてっちゃん』を食べる舘島虎徹のイラスト」が、それぞれツイートで寄せられた。

「12月5日の夕方、テレビアニメ『アニマエール!』を製作している東宝から、コラボをしないかと提案を受けました。『このチャンスを逃したら今後ツイッターを続けていても成果は上がらないだろう』と直感したので、必死に社内を説得して初のコラボキャンペーンを形にしました。今振り返れば、あの苦しかった半年間はこのコラボのための『下ごしらえ』というか、準備期間だったのかもしれません」

   キャンペーンツイートのRT数は3000に上り、フォロワー数も大幅増。一連の出来事から、サブカルチャーの話題はツイッターとの親和性が高く、不思議な化学反応が起きるジャンルだと学んだと言う。

ツイッターは「さまざまある仕事の中のひとつ」

   ツイッター運用上気を付けているのは、「ツイッターの世界に浸かり過ぎないようにすること」だ。

「会社の看板を背負ってアカウントを運用する以上、ツイッターは『仕事(SNSを使ったマーケティング)』として真剣に取り組んでいます。ただ同時に、ツイッターはあくまでも『さまざまある仕事の中のひとつ』であり、ここだけが全てではありません。ツイッターの世界だけに集中しすぎてしまうと見えなくなるものが出てくるので、一定の距離感を保つ必要があると考えています」

   また、自身の運用可能年数については「長くても3年くらい。企業公式の中には同じ担当者が5年以上運用にあたっていながら、趣向を凝らして飽きを感じさせずに情報発信し続けている例もあるが、自分の場合はアカウントの進化を停滞させてしまいそうだから」と考える。では既に後継者を探し始めているのか。

「無理に作る必要はないと思っているので、積極的には探していません。もし私が運用から離れる前に見つからなくても、後継者が現れるまでアカウントを眠らせておけばいいですから。ツイッター運用には向き・不向きがあり、『やらされている』と感じる人はなかなか続かないでしょう。逆に『やりたい』人は、もしツイッター未経験でも少しずつ学んで楽しく運用できると思います。そういう人にバトンタッチできれば」

各企業公式ツイッターアカウント担当者(通称:中の人)をJ-CASTトレンド記者が突撃取材。「業務」として日々ツイッター運用に取り組む担当者たちの魅力を紹介する。

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