2019年10月1日から実施されている「キャッシュレス・消費者還元制度」。クレジットカードや電子決済を使えば中小店で5%、コンビニなどのフランチャイズ店で2%の還元が受けられる一方で、還元を受けられない店の利用を減らした人がいるかもしれない。
だが、名が知られるチェーンでも「5%還元」が受けられるケースがある。
組み合わせ次第で最大10%還元も
全国38都道府県で572店舗を展開する宅配ピザチェーン「ピザーラ」(運営会社はフォーシーズ)では、公式サイトの注文フォームから利用店舗や購入商品を決め、クレジットカードでの支払いを選択すると5%の還元を受けられる。対象カードは「JCB」、「アメリカン・エキスプレス」、「マスターカード」、「VISA」、「ダイナースクラブ」。対象店舗はピザーラ全店だ。電話、店頭での注文では還元されない。
一部店舗では電子決済のPayPayと楽天Payによる注文でも5%の還元を受けることができ、こちらは店頭での注文であっても対象となる。
「カフェ・ベローチェ」を中心に、約200店舗のコーヒーチェーンを手がけるシャノアール(本社:東京)は、ほとんどの店舗で5%の還元を受けられる。対象となる支払方法は「VISA」、「マスターカード」と、電子決済の「iD」、「楽天エディ」で、福岡県8店舗では「Suica」「SUGOCA」などの交通系電子マネーも対象だ。
全国19都道府県でドラッグストアチェーン「ダイコクドラッグ」を展開するダイコク(本社:大阪)は、東京・新宿の2店舗を除き全店舗で5%還元を実施している。対象の決済方法は「PayPay」、電子決済「LINE Pay」で、19年10月9日現在、一部店舗では「VISA」と「マスターカード」も含まれる。19年11月末までPayPayが独自に実施する5%還元サービスを合わせれば、最大10%の還元が受けられる。
「中小企業」として制度の条件満たす
これらのチェーンがキャッシュレス還元の対象となっているのは、理由がある。
国の制度で5%還元の対象となるのは、小売業では資本金5000万円以下または従業員数が50人以下の「中小企業」だ。この中で、3年間の年平均課税所得が15億円を超える企業や、資本金5億円以上の法人に株式を100%保有される企業は対象外となっている。
J-CASTトレンドの各社への取材によれば、いずれのチェーンの運営会社も、こうした条件を満たす企業であったことから、今回の5%還元対象となったのだ。では各チェーンのキャッシュレス還元開始後の反響や、今後の方針はどうだろうか。
ピザーラを運営するフォーシーズの広報担当者は、ピザーラが還元制度開始前からキャッシュレス対応を進めていたことに触れ「(キャッシュレス還元は)お客様の反応や反響を期待して取り組んでいる事ではございません」と回答。その上で「増税による負担感の中で少しでもお客様のプラスになれば、それだけで十分だと考えております」と語った。
シャノアールは、19年10月1日からキャッシュレス決済の対応をはじめた。広報担当者は現在の利用状況について「キャッシュレスでのお支払いは一定数ございます」とした。
ダイコクドラッグの広報担当者は、今後は他のクレジットカードブランドや交通系ICカードなど、還元対象となる決済方法を広げていくとした。